会見中、「電力がなくなるとですね、トイレの水も流せない仕組みになってますので、もう日常生活の根本にひっくり返るんですよね」と中西会長が言った瞬間
4・8経団連会見、耳の痛い質問も出てきた中、中西会長は?
前回に続き、第6回目も4・8経団連会長中西宏明氏の会見の質疑応答についてです。事前すり合わせされたと思われる前回の質問に比べて、記者からの質問に耳の痛いものも現れ、なかなかの珍問答となっています。
文字おこしは、ハーバービジネスオンライン編集部が行い、著者が記者会見を視聴の上で校閲しています。質問者の名前などについては聞き取れる範囲で起こしているだけなので伏せることとします。
再掲となりますが、会見映像と資料はこちらとなります。なお、動画や図版については配信先によってはリンクが機能しなかったり、正常に表示されない場合もございますので、その場合は本サイトでご確認ください。
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“提言「日本を支える電力システムを再構築する」に関する中西会長会見(2019年4月8日) – YouTube” (会見本体)
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“中西会長定例会見(2019年4月8日) – YouTube” (質疑応答)
▼日本を支える電力システムを再構築する ― Society 5.0実現に向けた電力政策 ― 2019年4月16日 一般社団法人 日本経済団体連合会
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記者会見資料(リーフレット)
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概要(梗概)
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本文
また、年頭会見については、会見映像が公開されていませんが、報道映像はこちらになります。
“「原発存続には一般公開の議論すべき」 経団連会長(19/01/01) – YouTube” ANN
経団連中西会長記者会見 質疑応答 文字おこし(3/4)
以下の文字起こしは、前掲の動画
“提言「日本を支える電力システムを再構築する」に関する中西会長会見(2019年4月8日) – YouTube” (会見本体)の後半部分、記者からの質疑応答部分から起こしたものになります。
質問5.
記者:(読売新聞の??です)今回の提言はまあ、昨年末、年始にですね、記者会見のときにそれ以前からも中西会長は仰っていたんですけど、先程ちょっと
エネルギー基本計画の話ができましたけど、なかなかそのリプレースとかなかなか入ってこないという現状があります。いまですね、
今年統一地方選挙の前段がありましたし、参院選もあります。こうした中で、大きな争点にならないということに対して、どういうふうにお考えなのか? あるいは政治家の方々にはどういうふうに訴えていきたいですか?
回答5.
中西会長(以下、中西):あのまずですね
この議論の前提というものが、従来型の、その安定した電力会社運営というのをベースにした議論であるならば、そういう方たち、ある意味でプロが集まって相談すればよかったんですね。
ところが今抱えているこの問題っていうのは投資家も絡むしそれから正直言ってそのう、
日本ぐらい停電時間の少ない、品質の安定した電力が日本中どこでも得られるっていう環境に完全に皆様方が慣れ切っているので、私これだけ熱入れて喋っても皆様方がどのくらい危機感共有できたかって全然自信ありません。正直言って。そっから出発しないと駄目だって思っているんですね。
ですが、そうは言いながら、一方電力の話ていうのは、いま完全同期方式で、日本中いま、50と60はちょっと違うんですけど、えー、50Hzは50Hzとの中で完全に同期して動くという、そういうまあ、面白い特性があるんです。
単に消費量と需要量、あー、供給と消費、あー、供給と需要がマッチングするだけではなくて、サイクルが同期してきちっと動かなきゃいけない仕組みというのは必要なんで、そういう話になると、
私あのー、電気工学を勉強していますので、頭の中は全部そういうことで出来上がってるので、私には何の疑問もないのだけど、なかなか皆様方によく理解頂けないと。
特性がちょっとプロ向きなので、で、なおかつその一般的な議論に展開していく必要があるということで、まあある意味で選挙にはなかなか扱いにくいし選挙民のご理解を得るには大変難しい課題だと思いますが
現実に私が訴える危機感の最悪ケースというのは日々の電力が安定的でなくなるという状況になりかねない、こうこの一点なんです。
今皆さんがたご承知だと思いますけど、電力がなくなるとですね、トイレの水も流せない仕組みになってますので、ヘヘヘあのう、クスクスもう日常生活の根本にひっくり返るんですよね。そのぐらいは電気がうん、安定的にきっちり供給できているって、素晴らしいことだと思うんですけど、それを保証できなくなるという、まずその認識は皆さんで共有していただいて、その上で具体的な課題を一つ一つを議論したいというところにポイントがございますので、ある意味で
選挙のタイミングでこんなの出してどうするといわれても、まさにそういうことを、まあ選挙の争点なるかどうかは別として、関心を持っていただきたいそういうふうに思います。
質問6.
記者:朝日新聞の??です。例えば
原子力をその投資回収可能なぁ、そのレギュレーショナルにするためには、会長自身、まあ環境整備というふうにおっしゃってますけど、どういうのを必要だと具体的に考えておられるのかということと、
日立製作所がホライズンをやっておられましたけど、まあイギリスというのは、日本より格段にバッドエンドも含めて政府のコミットメントは強くて、投資回収としては格段に日本より進んでいる環境下においてですらですね、日立製作所としては企業体としてあの事業を凍結せざるを得ないという判断になったと思うんですけども、やはりそのオペレーターとしてちゃんとこう、原子力みたいな大きいエネルギーを発生させるものを主体的に制御していくというような主体がなければ、なかなかその事業継の続性って、難しく感じられて、その必要性があるっていうのと、維持できるかどうかっていうのは別次元の話だと思うんですが、そのへん、日立の会長として、あの事業の凍結を決められたことをふまえて、どういう風に考えておられるのかっていうのを2点伺えますでしょうか?
回答6.
中西:今おっしゃられたような課題について言ったらば、
UKのホライズン計画というのはほぼ整えつつございました。
ただ全体の資金計画という意味で言うと、イギリス政府はサッチャー時代に決めたですね、インフラの設備を国がバランスシートの中に抱え込まないっていう制約、従いまして
UK政府は法律ギリギリのところのオファーまでしてくれたんですね。設計は全部バランスシートに載らないから、全部UKが面倒を見てある意味で市場から債務、債権を、利率が負担に成るからなんとかしようというですね。
まあ、だけど
一線は越えられない。それは法律なんですよ。
特に
法律っていうのは、そのー、いま、メイ政権でこういう法案を出して変えられる状況にないですよね。パーラメント、毎日やってますけど全部ブレグジットの話しかしていない。
したがって
どんどんどんどん費用がかさなって、まあ要するにファイナンス計画がうまく組み立てられなかったから凍結と。これもまあうまく組み立たず、あるいはその時どういう状況になっているかわかりませんけど、いっときまで民間企業としては手が出ませんと。それ以外の条件は正直申し上げて、ありとあらゆる努力をして、だいたい見通しを付けておりました。
まあ
確かに我々はオペレーターであるとかないとかそういう議論も出発点ではありました。
けれども一緒にやってくれる、やっていこうやという事業体もいくつも出てきました。でも
UKのケースというのは一つ固有のプロジェクトの話ですから、今日の議論とは全然独立だと思います。