問題の10歳のYoutuberゆたぼん氏は、大阪に住んでいた時、通っている小学校の教師が必要以上に宿題を課したり、居残り勉強をさせたり、不当な体罰があったという説明をしています。仮に彼の言う通り、問題の多い小学校であったとしても、それは大阪に住んでいた時の状況であって、今は沖縄在住です。沖縄の小学校も同様だったのでしょうか。それとも沖縄であれば、のんびりした環境だから、あまりうるさく言われなかったのかもしれませんが、保護者が現地で就学させる可能性を模索したのかが疑問です。
あくまで一般論としてでしかいえませんが、転居先の小学校にきちんと相談すべきだったではないでしょうか。
脳科学者の茂木健一郎氏はこの少年について、「学校に行くだけがすべてじゃない」とエールを送っています。確かに、
学校へ行けない子どもに無理強いするのは良くないという意味では私も同意見です。だけど、学校へ行くことによって得られる知識や人間関係など、可能性を最初から否定してしまうのはどうかと思うのです。
アメリカは、小学校を追われたトーマス・エジソンに対し、母親が自宅で教育したことでも知られるように、個々人の能力や状況に応じ、学校以外の場所で初等・中等教育を行うことが許されています。このホームスクーリングは、家族や家庭教師によって、自宅で学習させるという、学校教育を代替する制度です。
教材を使って勉強する以外に、とりあえず机に向かうとか、絵本を読み聞かせるとか、生活の中で体験する様々な活動をレポートとして提出し、それを単位として認定し、小中学校を卒業したものとしてみなす制度です。これらは悪い制度ではありませんが、そもそも教師の代わりとなるになるはずの家族が適切に指導できるかという点が疑問です。全米でこの制度が導入されたのは、個々にあった適切な教育を施すというよりも、学校へ行かない子どもたちが犯罪に巻き込まれたり、ギャングに入らせないため、保護者などの大人が子どもから目を離さないための施策なのです。
確かに「アメリカでは学校へ行かなくても自宅で勉強させるのはよくあることだ」と、自由で明るい印象はありますが、実は
「不登校には常に犯罪リスクと、低学歴・低学力の子どもが大人になっても定職に就けないというリスクも同時に存在する」ことを理解しなければいけないのです。
子どもが小学校へ行かず、Youtuberとして活動していることについて、私は彼の未来が想像できません。
学校へ行かなかった人でも、きちんと職に就いている人や、起業して立派な経営者になっているケースもあれば、まともな職にありつくことができず、学歴不問の違法スレスレの職にしか就けない人もいるためです。
前者を想像している人は讃え、後者を想像する人は批判するのです。
Youtuberの業界についていえば、うまくやれる人は莫大なカネが稼げるけれど、うまくやれない人は無茶な動画を作成して炎上して初めて閲覧されるという過酷な業界です。やはり、個性的な動画を作成する一方で、学校の勉強は人並みにこなしておくというのが、普通の大人の無難なアドバイスではないでしょうか。