「むつみ演習場へのイージス・アショア配備に反対する阿武町民の会」の吉岡勝会長
花田町長は自民党員だが、「国の言いなりになる必要はない」と明言。安倍政権がゴリ押しする国策に異議申し立てをしている。故郷を守りたい町民の思いを受け止めて、政権に対峙しているのだ。配備に反対する「町民の会」代表の吉岡氏は4月16日、こう語っていた。
「防衛省には配備を撤回してもらいたい。(『町民の会』の会員は)最初は1000人ぐらいと思っていたが、予想したよりも多かった。阿武町自体がこういう運動をしたのは初めてだと思いますし、最初はやりにくかったが、まだ増えるのではないでしょうか。有権者の約半分が(『町民の会』会員として)集まったことは素晴らしいと思っています」
筆者が「地元選出の安倍総理や河村(建夫)衆院議員に訴えたいこと、直接会って伝えたいことは何ですか」と聞くと、吉岡会長はこう答えた。
「もちろん、この(イージスアショア配備)計画を取りやめてほしいですが、国の防衛政策もあるでしょうから、人のいないところに配備してほしい。私たちは『危険度が高い』『攻撃の対象になる』という不安を常に抱えている状態です。だから反対して活動を始めたわけですが、その不安を解消してほしい。『我々の人権はどうなるのでしょうか』ということを言いたい。
(イージス艦が4隻から8隻に倍増中で、不必要ではないかとの見方について)我々の中でもそういう見方はあります。『イージス艦がすでにあるのだから、(イージスアショアの)電磁波の影響もわかるでしょう』と問い質しても、防衛省は答えません。
だから『不安がますます募る』『このままだったらずっと平行線です』と防衛省に言っています。官邸に行って訴えることは考えていないが、まずは町長が防衛省に行くので、それに期待したい」
人口減少を食い止めた、地方創生のお手本ともいえる山口県阿武町の郷土愛を踏み潰そうとする安倍政権(首相)の実態が浮き彫りになっていく。衆参ダブル選挙の可能性が高まる今夏の参院選で、どれだけ多くの有権者がこの問題を争点と考えるのかが注目される。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数