陸上自衛隊むつみ演習場へのイージスアショア配備反対を表明した花田憲彦・阿武町長
これに対して、郷土愛に燃える阿武町民は強く反発している。「むつみ演習場へのイージス・アショア配備に反対する阿武町民の会」(以下、「町民の会」)は4月16日、町民の有権者の約半数(約48%)が入会したことを花田町長に報告。そして、「前方に人家がないところ、人々の生活に影響がないところに変更してほしい」「防衛省が適地か否かを発表する前に(町民の)思いをしっかり伝えてほしい」と要請した。
これを受けて花田町長は「大きな数字となって大変驚いた。これだけの熱い思いを伝えることが求められている。『国に伝えて下さい』ということなので、日程調整をして伝えに行きたい」と語った。
筆者が「安倍総理に会う機会があったら伝えたいことは何ですか」と聞くと、花田町長はこう答えた。
「会う機会があればいいが、まずは防衛省に町民の思いを伝えたい。ミサイル防衛自体に反対するわけではないが、場所があまりにも悪すぎる。無人島のようなところをもう1回探すのも着地点だと思います。
イージス艦の上にミサイル迎撃システムが乗っているわけですから、大きな面積である必要はない。無人島でも半島でもいいだろうし、埋立地を作ってもいいでしょう。『国有地』『可及的速やかに』ということで山口と秋田が候補地に選定されていますが、国有地と民有地の合体であっても可能でしょう。
私は『第三の着地点』と言う言葉を使っていますが、これは『いろいろ検討をしてみてください』という意味です。イージスアショアではなくてイージス艦を増やすことでも可能ではないか。海上のイージス艦であれば、人体への電波の影響もないし、ミサイルの落下物の危険性もない」
また阿武町民の民意についても、花田町長は次のように語った。
「『町民の会』代表から『阿武町の約半分の有権者が反対』と伝えられましたが、残りの人が『賛成なのか』と言うと、そうではありません。『分からない』とか、『国に抗ってもどうしようもない』という諦めの人もいるし、『国からの補助金がカットされるのではないか』『(阿武町に延びる予定の)山陰自動車道の進捗が阻害されるのではないか』という不安感を抱く人もいます。こういった住民は賛成派ではありません」