ラブホテルの外観は立地するラブホ街によって傾向が異なる!?<ラブホテルの地理学>

「巨大ラブホ」は何処で生まれるのか

 さて、ラブホテルの立地もさることながら、その規模も大型のビルタイプのものから民宿のようなものまで様々である。それぞれのラブホテルの部屋数を、エリアごとにプロットすると次の図のようになる。
部屋数

大阪市におけるラブホ街ごとの部屋数

 この図を見ると、大阪市のラブホ街をおおよそ3つの規模に分けることができる。それは、合計部屋数が400室以上の「大規模なラブホ街(①~④)」、200室以上の「中規模なラブホ街(⑤~⑦)」、そして100室以下の「小規模なラブホ街(⑧~⑪)」である。  興味深いのは、「ラブホ街全体の規模」が「個々のラブホテルの部屋数」と連動していることだ。  全体では、ラブホテル1軒の部屋数は「30室前後」が平均的だが、中規模なラブホ街では「30~50室」のラブホテルが出現し、大規模なラブホ街では「50室以上」の巨大ラブホテルも見られるようになる。大きなラブホテルが成立するには、「エリア全体の力が必要」ということが分かるであろう。  大阪を代表する繁華街《難波》には90室以上を備える巨大ラブホテルが見られるが、これは合計900室以上もの部屋を抱える《難波》というエリアがあって初めて成立するものだといえる。つまり、都心でシティホテルのような大きなラブホに行きたい時には「規模が大きなラブホ街に行け!」ということだ。  

何故か「部屋数よりも駐車場が多い」ラブホが集中する地区も?!

 次に、駐車場について見てみよう。次の図は、個々のラブホテルの部屋数(R)と駐車場台数(P)を比較したものである。
駐車場台数と部屋数の比較

大阪市におけるラブホの駐車場台数と部屋数の比較

 これを見ると、多くのラブホテルはP<R、 すなわち部屋数よりも駐車場台数のほうが少ない。一方で、部屋数よりも駐車場台数の多いラブホテルも数軒見られる (P>R)。これは、カップルがそれぞれ別の車でラブホテルに来るような場合を想定したものである。  筆者は人生経験が不足しているためか果たしてこれがどのようなシチュエーションなのか想像ができないが…いずれにせよ「大人」の利用方法であると思われる。  このような「部屋数よりも駐車場が多い」ラブホテルは、梅田の北側にあたる《十三》に多い。十三は鉄道アクセスにも優れた地域であるが、一体何故この地域にこういう形態のラブホテルが集積するようになったのかという詳細については分からなかった。
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立地エリアの特性はラブホの外観にも影響する!
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