大津事故で浮上した「外のお散歩不要論」の無意味さ

問われるべき問題は他にある

 また、交通マナーだけでなく、前出の薗部氏が指摘したように、さまざまな教育の機会が失われることになってしまう。 「たとえばカエルの卵を見つけたら、散歩のたびにその成長や生態を観察して、生き物についても学べる。砂利道や、草が茂っている路面の歩き方、自然物についても散歩で学んでいるんです。散歩がなくなったら、長い距離を歩けなくなる子が増えると思いますよ。 こういった事故でも保育士が叩かれるなら、何をするにも怖くなる。今回も自分の立場に置き換えて、すごく悲しくなりました」  当然のことながら、今回の事故の原因は、前方不注意のまま右折をした車にある。さらには、そうした予期せぬ事故が起きた場合も、歩行者の安全を確保する、十分なマージンがない交差点の構造なども問題があるだろう。  子どもたちの教育の場を奪ってしいまいかねない散歩の是非を問うのではなく、もっと考えて改善していく場所は他にあるのではないだろうか。 <取材・文/HBO編集部>
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