安田さん夫妻。打ち合わせにて
シリアで人質になり昨年無事に解放されたフリージャーナリストの安田純平さんと、純平さんの妻でヒーリングシンガーの深結(みゅう)さんの話を聞くトークイベント「いのちの話」が4月6日、東京・千駄ヶ谷区民会館で開催された。企画したのは「安田純平さんを救う会」。
純平さんはまず、深結さんについてこう語った。
「捕まった本人よりも、家族がいちばん大変でした。家族の周囲でなにが起きていたのか。家族がどのような心境に置かれていたのか。外務省やブローカー、メディア、拘束者側からも接触があり、それらをひとりで抱えなければならなかった妻の話を聞いてほしい」
ゲストとして、医者・作家でイラクやシリアの支援を行っているNGO
「JIM-NET」(日本イラク医療支援ネットワーク)の代表を務める鎌田實さんが登壇し、安田夫妻に質問をした。
「一番つらかったことは何ですか」と聞かれると、深結さんは「それが……あまり、覚えていないんです」と切りだした。つらかった経験なので、無意識に忘れようとしているのかもしれない。
「2015年6月の終わりに電話が通じなくなって、一週間つながらなかったので、夫から『いざというときは、連絡するように』と言われていたシリア人に電話したら、連れ去られたという。
相手を下手に刺激すると夫の命が危ないから、だれにも言えない。信頼している人に相談しても、その人が、また信頼できる人に『誰にも言わないで』としゃべれば、さらに広まってしまう。だから一切しゃべらないと決めたんです。それがつらかった」(深結さん)