65歳以下は損をする。「医療費世代間格差」の実態

診療報酬を抑制して国民の負担を減らす

写真/時事通信フォト

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 最注目の医療費改革は<③膨張する医療費を管理するための自動調整メカニズムや地域独自の診療報酬の導入>だ。一つは財務省案。人口減少や経済成長に合わせ、医療費が増えたら患者の自己負担を自動引き上げする。  もう一つは診療報酬に自動調整メカニズムを導入する案だ。診療報酬は中央社会保険協議会という審議会で検討した上で厚生労働大臣が決定する。 「年金額の伸びを物価や賃金の上昇率よりも低く抑える『マクロ経済スライド』と呼ばれる方式があります。これと同様の自動調整メカニズムを後期高齢者医療制度に導入することを私は提案しています。具体的には、診療報酬を現役世代の減少や平均余命の延びなどに合わせて調整する。40年間で『GDP比2%ポイント抑制』を目指すなら、年0.05%の引き下げで済みます」
医師の過重労働

医療費の格差も問題だが、医師の過重労働もまた問題。双方にとって有効な診療報酬の抑制案がうまくランディングすればよいが……写真/時事通信フォト

 後期高齢者には軽負担の責任はない。患者を守る改革が必要だ。 「自己負担を引き上げると、国民(患者)の負担が増す。これに対し、診療報酬抑制なら、国民の負担は増えません。自動調整メカニズムを導入すれば、治療への貢献度が高い値の張る薬を保険適用から除外する必要性も薄れます」  安心して病院にかかれる時代に向けて、先送りは許されない。 ― 医療費[世代間格差]の実態 ―
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