この日雇い労働者を調査対象から除外したことについて、今後は、影響の推計を求めることと共に、小川淳也議員を中心に、野党の議員には次の点を答弁で引き出していただきたい。
(1)常用労働者の定義から日雇い労働者を外したということは、毎月勤労統計調査の母集団復元においても日雇い労働者は除外して母集団復元を行うことにしたのだ、という点の確認。
(2)上記(1)を前提にして、では、どのようにして日雇い労働者を除外した母集団復元を行ったのか、を明らかにさせること。それは2014年の経済センサス基礎調査のデータから可能なのか、それとも推計によるのか、も含めて。
(3)上記(1)を前提にすると、従来、賃金変動の要因分解の中で「ベンチマーク更新による寄与」とされていたものの中に「日雇い除外による寄与」が含まれているものと考えられるが、その理解は正しいか。
(4)日雇い労働者を調査対象から除外したことによって、5~29人規模では、従来日雇い労働者を含めることによって対象事業所であった事業所が、日雇い労働者が除外されることによって「5~29人規模」という条件を満たさなくなる場合があると考えるが、その理解は正しいか。
(5)上記(4)を前提にすると、従来、賃金変動の要因分解の中で「サンプル入れ替えによる寄与」とされていたものの中にも「日雇い除外による寄与」が含まれているものと考えられるが、その理解は正しいか。
(6)「ベンチマーク更新による寄与」と「サンプル入れ替えによる寄与」とされてきたものから、「日雇い除外による寄与」を切り分けて、「ベンチマーク更新による寄与」「サンプル入れ替えによる寄与」「日雇い除外による寄与」「東京都500人以上規模事業所の抽出調査の復元による寄与」をそれぞれ分けた要因分解を公表すること。
2月18日は衆議院予算委員会で統計問題の集中審議が行われる。しかしこの統計問題は、この集中審議だけで幕引きが図られるべき問題ではない。1つ1つの事実関係を着実に確定していくことが重要だ。
<文/上西充子 Twitter ID:
@mu0283>
うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『就職活動から一人前の組織人まで』(同友館)、『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「
国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。『
緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆。