こうした消費者による“セコロジー”の横行により、売り上げが低迷しているのはスタバだけではない。深圳市内で日本料理店を経営する日本人(44歳)は話す。
「利益率の高い酒類を売ってナンボの日式居酒屋では最近、酒の持ち込みに泣かされています。スーパーで買った日本酒や焼酎を持参する客が少なくない。日本酒の場合、市価の3~4倍で出しますから、客にとってはかなり安上がりです。先日、火鍋店に行ったらスーパーで買ってきた豚肉や羊肉のパックを持参している連中も見かけましたよ」
さらに財布のひもが固い人は、外食すらしないという。
データが物語る消費降級 図版/佐藤遥子
①出典:中国インスタント麺大手・康師傅のデータ
②出典:中国大手酒類メーカー・牛欄山の出荷データ
③出典:中国大手ザーサイ製造・涪陵榨菜のデータ
「今、話題の節約術が『インスタント麺買い置きチャレンジ』です。まず給料日に1か月分のインスタント麺を買う。ネットでまとめ買いすれば60食分が2500円ほどで手に入る。これでできるだけ食い繫ぎ、食費を浮かせる。どれだけ節約できたか、SNS上で自慢するのがはやっています」(前出の日本料理店経営者)
そんな流行を反映してか、インスタント麺の売り上げは昨年、急激に伸びた。なかでも伸び率が高いのは高価格帯の商品で「外食を控えて家でプチ贅沢」といった消費動向を表している。インスタント麺のトッピングや白飯のおかずに欠かせない小袋のザーサイ(一袋10円程度)も大幅に売り上げを伸ばしている。
かつて賄賂の代名詞だった中国焼酎の「白酒」も低価格帯が席巻。一瓶100円ほどの最低ランクの「二鍋頭」がバカ売れしている。