コスタリカの軍隊廃止70周年記念式典にて演説を行う、カルロス・アルバラード大統領
1月末、コスタリカ共和国政府大統領府は
公式ホームページで、カリブ海岸第一の都市であるリモンから内陸部に伸びる貨物電鉄軌道の敷設に関する技術的、経済的、財政的および環境的的影響調査事業の入札を発表した。
順調にいけば今年中に調査を終え、来年には国営鉄道公社(Incofer)による総額約4億5000万ドル(約500億円)のプロジェクトが開始されることになるという。
1991年に起きた大地震以降、国内にあった長距離鉄軌道は採算が合わず、ほぼ放置されてきた。カルロス・アルバラード政権があえてその軌道を電化して復活させるアナウンスをしたのは、昨年5月の同政権発足以来一貫した未来ビジョンの一環と考えられる。
それは、「
化石燃料の使用廃止」だ。
しかもそれは、70年前に成し遂げられた「軍隊の廃止」の延長線上に位置付けられているのだ。
軍隊廃止から4世代。今の世代を生きる大人たちの責務とは
2018年12月1日の軍隊廃止記念式典で、まだ40歳にも満たない大統領は、軍隊廃止から現在までの70年をこう捉えてみせた。
「これは、コスタリカの4世代にわたって成し遂げられた事業です。
軍隊を廃止した第1世代。軍隊がない社会を生きた初めての世代である第2世代。軍隊がないことが伝統となった私たち第3世代。私の息子が第4世代に当たります。
この伝統を第4世代にどう引き継ぐかが、私たちに課せられた責務です」
そう前置きした後、70年前と未来を結ぶ現在の結節点として、クリスティアーナ・フィゲーレス・オルセン氏に「平和・民主主義功労賞」を贈ると発表した。軍隊廃止宣言を行なった“ドン・ぺぺ”ことホセ・フィゲーレス・フェレール氏の娘であり、国連気候変動枠組条約締結国会議の事務局長を2010年から6年間に渡って務めた、今世界で最も注目を集めるコスタリカ人の1人である。
ただし彼女が受賞したのは、立国の父である“ドン・ぺぺ”の娘だからではない。持続可能な開発と気候変動対策に尽力してきた功績と、脱炭素化という未来への橋をかけることへの期待に対して授けられたのだ。
その意味を、式典で流された本人のビデオ・メッセージから読み解いてみる。