改めて事業所に目を向けてみる。
事業所としての許可を得るためには下水処理に問題があり、本来であれば事業許可がおりないタイプの物件であるため、債務者は何らかの抜け道的手法を使っていたのかもしれない。
いずれにせよ次の買い手にはこの点を告知しなければならないため、買い手をつけるのは困難。もちろん、値段も下げざるを得ない。
さらに発電量0の太陽光発電システムを付加設備としてプラス計上することも難しい。
事業所内に足を踏み入れてみると、倒産間際の殺伐とした痕跡は残されておらず、比較的小奇麗に保たれている。
とは言え、経営悪化の末期には従業員に対するノルマも厳しかったようで、ホワイトボードには訪問販売の予定地域が一人ひとりにギッシリと割り振られ、壁には前向きな標語や心に響く言葉、従業員を鼓舞するようなフレーズが所狭しと掲げられている。
同時に罰金制度も厳しかったのか、ポジティブな言葉以上に罰金制度のルールを記した紙の張り出しが目立つ。
倒産間際には経営者も追い詰められ、いわゆる「ブラック企業」化という状況に陥っていたのだろう―――。
太陽光発電システム販売業者の倒産は、地域に限らず近年急速に増えている。売電価格は今後も緩やかな下り坂をたどる気配ということで、経営はますます難しくなる可能性が高い。
もちろん業者が減少するということは自宅に太陽光発電システムを取り付ける人はさらに減少していくことになるのだが、ここからは国の電力政策に左右される部分になってくるため、再生可能エネルギーに関する政策には、「太陽光発電とは別の回答」が用意されているのだろう。
この次なる回答も10年そこいらで簡単に“再生不可能”となるようなものでなければ良いのだが。
<文/ニポポ(from トンガリキッズ)>
2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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