このような流れで今回紹介する物件は、太陽光発電システム販売業者の事業所。
工業地帯ながらも国道沿いに設けられた平屋建ての広い事業所で、屋根にはトンデモナイ面積のソーラーパネルが敷き詰められている。
売電だけでも相当な利益が出ているのではと考えられたが、燦々と降り注ぐ太陽光をよそに売電メーターは全く回っていなかった。
このように太陽光発電システム自体は取り付けられているものの、実際には稼働していないという事例は多発しており、パワーコンディショナーの故障により発電量が0になってしまったが、修理代が高額のため放置せざるを得ないというボヤキをよく聞かされる。
それでもソーラーパネル自体はせっせと発電を続けているため、放置し続けたために発生してしまった漏電からの出火や感電という事例も耳にするので注意が必要だ。
「日本の太陽光発電システムは高い」
こんな言葉がよく語られており、実際に他国と比較してみると日本の太陽光発電システム導入費用は確かに高い。
中でも設置工事費が圧倒的に高いわけだが、これらが暴利であるならば彼らのような施工業者も潰れずに済む。
業者に言わせれば災害が多く1軒1軒個性豊かで隣家との間隔も狭い日本の住宅事情を踏まえると、考えなければならないことも他国に比べ圧倒的に多いという。
ちなみに「太陽光発電システム」以前のブームであった「太陽熱温水器」は、ブームから30年以上が経過しており、差し押さえ・不動産執行の現場でもよく見かけるが、現在でも動いているという報告は1度も聞いたことがない。
日本の気象条件や災害事情を抱えながら屋根の上で長期ノーメンテナンスの稼働というのは、やはり難しい話なのだろう。
そのため、施工費の薄利を補うため契約件数を営業努力で増やすという「右足」、そして売電利益という「左足」。この二本の足で漕ぎ続けられた自転車操業だったが、売電システムが故障に見舞われ瞬く間に推進力を失ってしまった。
もちろん修理も検討されたようだが、売電価格の下落から今後の事業継続も困難と判断されそのまま不渡りを出す結果となった。