浅野:今回の活動で、嫌がらせや脅迫などの被害はありませんでしたか。
カジワラ:日本の右翼や米軍に近い人たちからは批判はされていますが、深刻な脅しなどは今のところありません。「今度、沖縄に行くときは気を付けた方がいい」というアドバイスは受けています。どんな妨害があっても、沖縄の民主主義のために進んでいくつもりです。
本土の日本人たちは、辺野古新基地建設を阻止するために活動している、沖縄の人たちを助けてほしい。そして、日本を真の民主主義国家にしてほしいです。安倍政権は民主主義を大切にしていません。
かつて沖縄は、平和を愛する独立国家でした。日本は1879年に「琉球処分」で琉球を併合し、沖縄県を設置して以降、沖縄の人民を犠牲にしてきた。それまでは非戦平和の独立国だったんです。日本が真の民主的な国になるために、沖縄の人民の民主主義を尊重してほしいと思います。
カジワラさんは、故・翁長沖縄県知事の遺志を受け継いでいる
2019年2月末に、再び米朝首脳会談が行われることが決定した
カジワラさんが日本と米国がアジア諸国との平和的な関係を構築すれば、アジアに米軍基地は不要だと強調したのは、翁長雄志・前沖縄県知事(故人)が亡くなる前の7月27日。前知事の埋め立て承認撤回を表明した臨時の記者会見での発言と重なる。
翁長氏はこう強調していた。
「朝鮮半島の非核化と緊張緩和に向けた米朝の努力は続けられている。このような中、20年以上も前に決定された辺野古新基地建設を見直すこともなく強引に押し進めようとする政府の姿勢は、到底容認できるものではない。私としては平和を求める大きな流れからも取り残されているのではないかと危惧している」
「米韓合同軍事演習が中止されたこと、トランプさんが金正恩さんと会ったこと、アジアが大きく変わりつつあること、アジアは経済ということから世界の中で一番発展している。アジアで、中国、米国と安保条約を結んでいるところはベトナムでもタイでもどこにもない。日本だけが寄り添うようにして米国とやっている。そういう動きは必ず日本を揺り動かす。今の日本の動きではアジアから閉め出されるのではないかというものを感じている」
翁長氏の「米朝の友好関係が生まれ、米中の経済的な絆も強まっている。沖縄に米軍はいらない」という遺言と、カジワラさんの「米国、日本アジアの国々と平和・友好関係を構築することで基地をなくすべきだ」という主張は重なっている。カジワラさんは、翁長氏の遺志を受け継いでいるともいえる。
2回目の米朝首脳会談が2月末に開催されることが1月19日に決まった。北東アジアは非戦・平和の方向に進んでいる。
カジワラさんは最後に「安倍政権、辺野古新基地に関することならどんなことでも、情報を送ってほしい。日本語でいい」と訴えた。カジワラさんは沖縄の県民投票に合わせて2月末に来日し、沖縄で講演などを行う予定だ。
<取材・文/浅野健一(アカデミックジャーナリスト、同志社大学大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程教授※最高裁で地位確認訴訟中)>
あさのけんいち●ジャーナリスト、元同志社大学大学院教授