グラスボートから海の中を観察。長い時間をかけて育ったサンゴの姿に感激の声が上がる
陸揚げ桟橋(K9護岸)の視察をした後、一行は土砂投入が始まった辺野古側へと向かおうとしたが、大雨に伴う荒波で断念。大浦湾のサンゴ群落の視察となった。最初は、北半球最大のアオサンゴ群落の上で停船した。
東恩納氏がこう説明する。
「このアオサンゴは高さが12~13メートル、幅が20~30メートル、長さ50メートルと言われています。世界のサンゴ学者が『こんなサンゴは見たことがない』と驚きの声を上げた世界的なサンゴです。小さい山のようになっていますが、一つの個体なのです。ここまで成長するのに2000年から3000年かかったと言われています。縄文杉ならぬ“縄文アオサンゴ”ということになりますね。中が青いのでアオサンゴと呼ばれています」
続いて、グラスボートの底面越しに超大型のせんべいを並べたような形の巨大なコブハマサンゴが現れた。
「このコブハマサンゴは、高さ5メートル、幅5メートルぐらいで、ここまで成長するのに700~800年ぐらいかかると言われています。形が面白いですよね」(東恩納氏)
次に登場したのが、テーブルサンゴ。「この一帯のサンゴは、20年前の世界的な白化現象で死滅しました。しかし徐々に回復してきて、産卵する大きさにまでなりました」(東恩納氏)。こうした説明を聞いていた国会議員からは「きれいだ」「魚もたくさんいる」といった歓声が何度も上がった。
大浦湾のグラスボートに乗って、美しい海の姿に感激するのは若い世代も同じのようだ。「辺野古に土砂 孫たちも憤り」と題する投書(2018年12月20日付『東京新聞』)で安部端枝さん(75歳)が、孫たち4人との沖縄旅行を次のように紹介していた。
「大浦湾の沖にある北半球最大の青サンゴで、グラスボートから周りを青・赤・黄色の魚たちが泳ぐ様を見た孫たちは『こんなすごい観光資源は日本みんなの財産だ。埋め立てられたらサンゴも魚介類もいなくなってしまう』『国の判断は間違っている』と憤りを表していました」