辺野古土砂投入で危機迫るサンゴ群落。「ローラさんらに見に来てほしい」とグラスボート船長が訴え

軟弱地盤の改良工事が、貴重なサンゴに大打撃を与える

辺野古工事現場

赤土を含んだ違法な土砂が運搬船から桟橋に陸揚げされた後、ダンプカーに積み替えられて辺野古側に投入されている

 環境の面でも、新基地建設は行き詰まった状態にある。埋め立てには「ケーソン」と呼ばれるコンクリート構造物を置き、その上に滑走路となる埋め立て地を造成することになるのだが、軟弱地盤の上にはこれを置くことができない。  そのため、厚さ40メートルにも及ぶ軟弱地盤層を入れ替えて強固にする地盤改良工事なしには“欠陥基地”にしかならないのだ。東恩納氏は「地盤改良工事はサンゴに大打撃を与える」と危機感を募らせている。 「工事は水深40メートルのところにコンクリート構造物(ケーソン)を立てるという、前例のない大規模なものです。ヘドロのような軟弱地盤の泥が広がり、大浦湾の貴重なサンゴが破壊されてしまうのは確実です。そんな工事を玉城知事が認めるはずがない。安倍政権はまさに場当り的な対応で、『これが法治国家なのか』と言いたくなります。土砂投入で県民は諦めるどころか、逆に反発が強まっています」  グラスボートは10分ほどで、大浦湾側の「K9護岸」を望むところで止まった。元々は埋め立て用の護岸だが、軟弱地盤で工事に着手できないため、土砂を陸揚げする桟橋として目的外使用されているのだ。東恩納氏は、数珠つなぎ状のフロートの先に停泊する運搬船を指差して説明を始めた。 「運搬船の土砂は台船に移し替えられてK9護岸で陸揚げされ、そこでカーに積み替えて辺野古側に運ばれ、土砂投入をする。手間暇かかる作業を繰り返しています」  すると、伊波氏が運搬船の方を見ながら「土砂に赤土が混じっていることは明らかだ。違法工事をしている」と付け加えた。 「防衛省は『埋め立て用土砂は岩ズリ(鉱石の採掘などで掘り出される細かい岩石)で赤土ではない』だと言っています。しかし実際は見ての通り、赤土を大量に含んでいることは一目瞭然。沖縄の埋め立て工事で赤土が使われていないのは、粒子が細かい泥状の赤土が流出するとヘドロ化して広がり、海の環境に打撃を与えてしまうからです。もし台風襲来で護岸が決壊した場合、大規模な赤土流出を引き起こしてしまう」(伊波氏)  土砂投入が始まったのは辺野古側だが、護岸損壊で流出した赤土が大浦湾側にまで広がった場合、世界的に貴重なサンゴ群落が死滅してしまう恐れがあるのだ。
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失ったら二度と戻らない「美しい海」
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