あまりに危険な橋下、小沢、前原の共闘。「野党分断工作」から目を離すな

橋下-小沢ラインという悪夢

 次の参院選はわが国の将来に対して大きな意味を持つ。  すでにわが国は常識が通用しない三流国になっている。森友事件における財務省の公文書改竄、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚生労働省のデータ捏造、先日は入管法改定に関して法務省がデータをごまかしていたことが明らかになった。安倍政権はTPPを推進し、種子法を廃止水道事業の民営化や放送局の外資規制の撤廃も目論んできた。北方領土問題や移民の受け入れ問題で安倍が大チョンボをやらかすと、情弱のネトウヨや自称「保守」もなにか変だと気づき始めたようだが、自分たちの判断ミスを認めたくないので、欺瞞に欺瞞を重ねていくのだろう。  次の参院選で自民党が勝てば、日本にとってはトドメになる。  こうした大事なときに、小沢一郎の見識のなさはネックになる。報道によると、橋下の動向に小沢が関心を示していることを耳にした前原が、橋下と定期的に開いている会食の場に小沢を招待したという。  ここのところ橋下は訴訟を連発し、メディアの露出も増やしている。最近出版した『政権奪取論』では、「かつて自民党の中枢で権力闘争に揉まれ続けてきた人であり、権力の本質について一番理解されている」と小沢を持ち上げた。  橋下は「大阪都構想」をめぐる住民投票で敗れたことを理由に政界を引退。政治家に戻る可能性は「ない」と公言しているが、そもそも「2万パーセント府知事選には出ない」と言いながら、出馬の準備を進めていた人物である。政界復帰が「絶対ない」ということは絶対復帰するつもりなのだろう。  ご存じのように官邸と橋下維新は密接につながっている。小沢-前原-橋下ラインが大きな流れをつくれば、タチの悪い第2自民党が生まれるだけだ。

ウソも100回つけば真実になる

 世の中を急速におかしくしたのも橋下の実績である。  橋下出現以降、確信犯的に嘘をつく連中が政治を汚染するようになった。  橋下の著書には、悪徳弁護士の手法が並べたてられている。 「ウソをつかないやつは人間じゃねえよ」(『真っ当勝負』) 「交渉において非常に重要なのが、こちらが一度はオーケーした内容をノーへとひっくり返していく過程ではないだろうか。まさに、詭弁を弄してでも黒いものを白いと言わせる技術である」(『図説 心理戦で絶対負けない交渉術』) 「交渉では“脅し”という要素も非常に重要なものだ」(同前) 「私は、交渉の過程で“うそ”も含めた言い訳が必要になる場合もあると考えている。自身のミスから窮地に陥ってしまった状況では特にそうだ。正直に自分の過ちを認めたところで、何のプラスにもならない」(同前) 「絶対に自分の意見を通したいときに、ありえない比喩を使うことがある」(同前) 「たとえ話で論理をすり替え相手を錯覚させる!」(同前) 「どんなに不当なことでも、矛盾していることでも、自分に不利益になることは知らないふりを決め込むことだ」(『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』)  橋下はこうした卑劣な手法をそのまま政治に応用したわけだ。  ひたすら、嘘、デマ、プロパガンダを流し、都合の悪いメディアや学者を恫喝する。2015年5月の「大阪都構想」を巡る住民投票で、二重行政の解消でカネが出てくるという話も嘘だった。維新の会は、当初、年間4000億円の財源を生み出すのは「最低ライン」と言っていた。ところが、大阪府と大阪市が試算した結果は976億円。さらにその数字も橋下の指示による粉飾だった。最終的に大阪市議会が出した「効果」はわずか1億円。制度移行のための初期投資680億円、年間コスト15億円を引けば、明らかにマイナスだ。にもかかわらず、橋下は大阪市のタウンミーティングなどで、二重行政の解消による財政効果は「無限」と言い出した。  テレビCMでは「教育費を5倍にした」とデマを流し(実際には108億4700万円も教育予算を削っている)、住民投票前になると「都構想の住民投票は一回しかやらない」「賛成多数にならなかった場合には都構想を断念する」と断言したが、否決後三ヶ月もしないうちに、再び「都構想」をやると言い出した。  確信犯的に細工を加えた詐欺パネルも使い放題だった。問題は、市民団体や学者により数値のごまかしを指摘された後も使い続けたことだ。  ここが橋下の最大の特徴である。政治家は嘘を暴かれるのを嫌がる。信用を失うのだから当然だ。しかし、橋下は嘘を暴かれてもびくともしない。「ウソも100回つけば真実になる」とヒトラーは言ったが、ナチスの手法と同じである。ウソをつくのは簡単だが、ウソを修正するのには手間がかかる。特にネットでデマが拡散すると、完全に修復するのは不可能だ。だから、ひたすらデマを流す。嘘を指摘されても反論せずに、ひたすら同じウソをつき続ける。  安倍はこのやり方を橋下から学んだのだろう。  橋下は著書で「嘘つきは政治家と弁護士のはじまりなのっ!」と述べているが、嘘つきは橋下のはじまりである。 「橋下×羽鳥の番組」(2016年9月19日放送)で、橋下は外国人政治家の招聘を提案。「国籍関係ないでしょ」「有権者の意思で、有能な外国人を選んでもいいじゃないか」「政治家は、最後は有権者が『選ぶ』か『落とす』か決められるから、もう極端なことを言えば外国籍でもいい」と述べている。  橋下は「日本的」という言葉をマイナスの意味で使う。「竹島は(韓国と)共同管理すべき」「日本国民と握手できるか分からない」「日本をグレート・リセットする」「能や狂言が好きな人は変質者」……。こうした発言からもわかるように、橋下は日本を深く憎んでいる。橋下はかつて大統領制の導入を唱えていたが、皇室を潰したいのだろう。  これは私だけの意見ではない。『新潮45』(2013年1月号)には佐伯啓思京都大学教授が、「『維新の会』の志向は天皇制否定である」を寄稿。反皇室、共和主義という点において石原慎太郎と橋下がつながっていることを指摘していた。  私の見立ても同じである。橋下は日本に復讐したいのだ。だから、文楽や狂言などの伝統芸能に攻撃を仕掛けたり、政令指定都市の大阪市を解体しようとしたり、地域を守るコミュニティバスを廃止したりする。  小沢や前原が、橋下がなにをやってきたか知らないはずはない。
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小沢一郎の「選球眼」の悪さ
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エセ保守が日本を滅ぼす

誰が日本をここまで劣化させたのか? それは安倍政権やそれを支持する「エセ保守」たちだ!