「東京市場の株価が、国内指標よりも米国指標の変化に敏感に対応する」と指摘しましたが、最近では世界GDP2位の中国の経済指標の影響も少なからず受けるようになっています。トランプ米大統領が仕掛けた米中貿易戦争が激化して、その影響でダウが大幅に下がれば、日経平均も大幅に下がる傾向があります。
数年前まではそこで終わっていました。しかし最近では米中貿易戦争の影響で、午前10時半から始まる上海市場で上海株が大幅下落するケースが起こっています。上海株が下落するとそれに足を取られ、日経平均が午前11時頃から後場にかけてさらに大幅に下落する現象が見られるようになりました。
前門のトラ(ダウ)と後門のオオカミ(上海総合指数)に挟まれて、日経平均がダブルパンチで大幅下落する最悪の事態も、米中貿易戦争の激化によってこれから頻繁に起こってくるかも知れません。
日経平均の日々の変動が、海外投資家の動きに大きく影響される時代に入った今、特に米国と中国の経済動向からは目を離せなくなりました。
◆石橋叩きのネット株投資術 第23回
<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『
新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『
ゼミナール日本経済入門』(同)、『
環境経済入門』(日経文庫)、『
環境再生と日本経済』(岩波新書)、『
サッチャリズム』(中央公論社)、『
サステナビリティ経営』(講談社)など。