ネット株投資で「海外(外国人)投資家の売買動向」をチェックすべき理由

海外勢の動きに目を配っておくべき理由

日経平均株価の推移

リーマン・ショックで株価は暴落したが、2012年12月末の第2次安倍政権発足以降株価は上昇

 アベノミクスが始まってすぐに、円の対ドル相場はどんどん円安になり、それにつれて株価も上がり続けました。未曽有の上げ相場なのに、なぜそこで日本の投資家が儲けられず、みすみすおいしいところを海外投資家にさらわれてしまう事態が起きたのでしょうか。  それは、日本の投資家たちはアベノミクスによって株価が上がるとは予想しなかったし、予想できなかったからです。アベノミクスはそれまでの経済政策の「日本的常識」とは正反対の「異次元金融緩和」を掲げて登場しました。「失われた20年」と言われるデフレ時代の真っただ中にあっても、政府、日銀はその対策ができず、デフレを長引かせる財政赤字削減策や増税政策を行っていました。  しかし2012年12月末の総選挙で、国民は自民党政権を選び、アベノミクスが始まりました。その中核理論をなすのはリフレ派経済学の考え方です。それは欧米では主流の正統派理論で、フリードマン、クルグマンなどのノーベル賞経済学者だけでなく、バーナンキ前FRB(米連邦準備銀行)議長など実務家も信奉している世界標準の理論です。しかしどういうわけか日本では全く異端の理論とされていました。  リフレ派経済政策を掲げる安倍首相が政権に返り咲きそうだと予想した欧米投資家・機関は「チャンス到来」とばかり、安倍内閣が誕生する前から東証で株を買い始めました。デフレ真っただ中の日本で金融緩和すれば超インフレになるはずなどなく、円安、株高になることは常識です。そこで内閣発足後も海外投資家による大量買いが続き、彼らは日本株投資で大いに儲けました。  このように、海外勢の動向をいち早く知ることができれば、「日本の常識」に囚われることなく大きな波に乗ることができる可能性もあるのです。

米国の経済指標やFRB議長の発言などで日本株が買われる

外国人ビジネスマン 東京市場で海外投資家の売買比率が7割を超えるほど大きくなったことで、日経平均の動きにも大きな変化が出てきました。  第1に指摘できることは、日本の主要な経済指標の影響が相対的に小さくなってきたことです。かつての高度成長期には経済成長率や機械受注、貿易収支などの指標が発表になると株価は敏感に反応したものです。最近は日本経済の足元の経済動向を最も敏感に反映する日銀の短観、経済成長率などが発表になっても、株価への影響はあまり大きくありません。  第1と裏腹の関係ですが、第2に指摘できることは、米国のさまざまな経済指標、たとえば毎日のダウ平均やドル円相場、金利動向、毎月発表される雇用統計、四半期別GDP速報、FRB(米連邦準備理事会)議長発言などが日経平均に大きな影響を与えるということです。  海外投資家は日経平均とダウとの相関関係が極めて高いことに着目しています。日本国内の経済指標よりも、東京市場が始まる数時間前に終わる米国市場の動きを見て、東京市場で株式の売買をする傾向があるのです。
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米中の経済動向に翻弄される日本株
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