水道事業に民間参入を促そうしているのは誰なのか。内閣府PFI推進室を巡る利権の構造
英国では「PFIは失敗」と断定
また英国に限らず、ヨーロッパの多くの自治体では民営化されていた水道を、再び自治体のサービスに取り戻す再公営化が次々と広がっている。2000年から2016年までに世界で水道の再公営化をした自治体は、判明しているだけでも270近くとなる。私たちアジア太平洋資料センターは、2018年12月にこうした事例を描いたドキュメンタリー映画『最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争』の日本語版をリリースした。ここでは民営化の下で料金高騰や水道サービスの低下などの問題だけでなく、企業が財務状況を行政や市民に公開しなかったり、また契約自体が秘密であったなど、民主主義の根幹にも関わる問題が多数指摘されている。こうした失敗の経験から私たちは学び、国民・住民不在の政策決定がこれ以上なされないよう、メディアも市民も、これまで以上に強くチェック機能を働かせていかなければならない。
<文/内田聖子>
うちだしょうこ●NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表。TPPや日EU経済連携協定、RCEPなどのメガFTA、自由貿易・投資協定に関して、市民社会の立場から調査研究、政府や国際機関への提言活動、キャンペーンなどを行う。共編著に『徹底解剖 国家戦略特区 私たちの暮らしはどうなる?』(コモンズ)、『自由貿易は私たちを幸せにするのか?』(コモンズ)等うちだしょうこ●NPO法人アジア太平洋資料センター〈PARC〉共同代表
ドキュメンタリー映画『最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争』
2018年/日本語版制作:NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)/59分
本体価格:3,000円+税(図書館価格:本体10,000円+税)
詳細・お申込 http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/uptothelastdrop.html
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