強行採決濃厚な「水道民営化」法案について改めて考えてみた

水道民営化は日本のみならず世界の問題である

 水道管が老朽化していて、どうにかしなければならないという現象は、日本だけの問題ではありません。世界中の至るところで同様の問題が起こっていて、海外では既に水道民営化を試みたところがたくさんあるのです。  ところが、水道民営化がうまく機能しているところは極めて少なく、ほとんどの場所で再公営化が進められています。水道は一度でも民営化されてしまうと契約期間が長いため、まだ民営化されたままになっている自治体も残っているのですが、契約終了を待って再公営化するところもあれば、違約金を払って再公営化するところもあります。  違約金を払うとなれば、それはそれでお金がかかってしまうわけで、日本は既に契約を結んでしまったTPP11日EU経済連携協定、実質的な日米FTA、そして、これから契約を交わそうとしている中国を中心とした「RCEP」にも加盟する予定なので、もし水道を民営化し、外国の企業が利権を握ってしまうと、その契約を解除するのに法外な違約金を支払わなければならない可能性があり、水道というインフラが人質に取られてしまうかもしれないのです。

なぜ失敗すると分かっているのに水道民営化が進むのか

 この国の政治家たちは、庶民のために仕事をしているわけではありません。では、誰のために仕事をしているのかと言うと、それは上級国民様です。上級国民様とは、どこかの上場企業の経営者だったり、どこかの大資本家だったり、簡単に言うと「セレブを極めている方々」ということになります。  どこぞのしみったれた生活をしている庶民が困るのは庶民だからであり、上級国民様がより楽しいセレブライフを過ごすためにはどうすればいいかを考えるのが、今の安倍政権の仕事です。もちろん、その上級国民様の中には安倍ファミリー、麻生ファミリーなども入っていらっしゃいます。そして、かねてから水道を民営化してほしいと願っているのは、日本の大企業ではなく、フランスやスイスなどに本社を置く水事業を営む上級国民様です。  安倍政権のスゴいところは、日本の上級国民様のためだけに仕事をするのではなく、海外の上級国民様のためにも仕事をするところです。  トランプ大統領の娘であるイバンカお嬢様が「お金を欲しい」と言ってきた時もポンとお金を出したのは、上級国民様であればアメリカ人でもいいのです。安倍政権というのは、庶民よりセレブを大切にすることで支持され続けている政権なのです。  もっとスゴいのは安倍昭恵夫人です。安倍昭恵夫人はセレブとだけ仲良くするのではなく、庶民と友達になることで「上級国民チャンス」をプレゼントするのです。大阪の豊中で幼稚園をやっていたオジサンが、突然、ほとんどノーマネーで小学校を作れるビジネスチャンスがやってくる。市議に土地の問題をめくられなければ、今頃、小学1年生から教育勅語を暗唱させられ、ネトウヨのエリート教育を受けられる小学校が誕生していたところでした。  そんな感じで、水道を使って儲けたいと言ってきた会社に儲けさせてあげるために、たとえ庶民の生活が困ることがあっても儲けさせてあげる。僕たちの生命に関わるライフラインであっても、まったく慎重に考えることなく、軽々と多国籍企業に売り渡してしまう安倍政権の愚かさが、この問題にはギュッと詰まっているのです。
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「生活」を無視した無闇な民営化の弊害
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