さらに、書籍・CD・DVD市場の縮小という課題に直面している複合書店「Wonder GOO」も、今年から大型店においてジーンズメイトからの商品供給が開始されたほか「ハピンズ」をテナントとして導入することで客層の拡大と集客力の向上を目指しており、RIZAPグループとなった各社が持つ経営資源の相互補完によるシナジー創出が、グループ全体において難局を乗り越える「鍵」へとなりつつある。
なお、かつてジーンズメイトで主力であった路面店は「全店閉店」した訳ではなく、2018年10月には渋谷店を「ニューコンセプトショップ」を謳う新業態「JEM」に転換するなど、僅かに残った店舗においては「今後の路面店の在り方」の模索も行われている。
ジーンズメイト路面店のニューコンセプトショップ「JEM渋谷店」。10月に開店したばかりだ
RIZAPグループ傘下で「ワケあり業態」「24時間営業」「路面店」という、ある意味“アイデンティティ”とも言える部分からの脱却を図り、事業の「選択」と「集中」を進めたジーンズメイト。こうした事業の「スリム化」とRIZAPグループによるシナジー創出の結果、2018年には第1四半期としては4期ぶりの、第2四半期としては11期ぶりの営業黒字化を達成したほか、2017年8月からは15ヶ月連続の前年比既存店売上高更新を記録。低迷からの脱却を果たしつつある。
今後もジーンズメイトが「業績にコミット」し続けることができるのかどうかは、膨張を遂げたRIZAPグループ傘下でのさらなるシナジー創出が実を結ぶかどうかにもかかっている。それは、傘下に収めた他企業においても同様だ。
数年後、こうしたRIZAPグループ内での「シナジー創出」が昇華し、本当にグループ各社の店舗を集めた「RIZAPショッピングセンター」が生まれているかも知れない。
<取材・撮影・文/淡川雄太(都市商業研究所)>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
@toshouken」
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