業績不振のRIZAP傘下で、ジーンズメイトが赤字体質に「劇的にコミット」できたワケ

何かと“ワケあり”だったジーンズメイト

 ジーンズメイトは1960年に衣料品製造卸「西脇被服本店」として「ジーンズのまち」として知られる岡山県児島市(現・倉敷市児島)で設立。  1978年に東京・下北沢に「ジーンズメイト」1号店を出店して以降、首都圏の都心エリアを中心に路面店を多店舗展開、1998年にはジーンズメイト最大の特徴である「24時間営業」を開始し、業界の牽引役として一世を風靡した。  その一方で、2000年代前半まで「繁華街の路面店で24時間営業する」という特異な店舗モデルにこだわり続けた結果、カジュアルウェアにも定評がある「Right-on」(茨城県つくば市)や、靴量販店大手「チヨダ」(杉並区)傘下の「マックハウス」といった競合他社と比べてファッションビルやショッピングセンター、ロードサイド型店舗の展開に大きく出遅れ、その後の業績に大きな影を落とすこととなった。
ライトオン

ショッピングセンターや百貨店にも展開することで急成長した「Right-on」(写真はつくば本店)。一方のジーンズメイトは「路面店」での店舗網拡大を進めていた

 ジーンズメイトは2001年に東証一部上場を果たし、出店地域を拡大することで総店舗数100店舗を突破するなど追い上げを見せたが、同時期にフリースなど実用性の高い衣料を販売する「ユニクロ」が大都市都心部への本格出店を開始。  また、同様に「GAP」「ZARA」など、デザイン性の高い衣料を低価格で販売する外資系ファストファッションブランドも大都市都心部での店舗網を拡大させたことで、出店エリアが重複していたジーンズメイトの業績は低迷することとなる。  同社は起死回生を図るべく、2010年には次世代の主力業態に据えた総合アウトレット店舗「ワケあり本舗」の出店を開始。さらに2016年には伊藤忠商事から米国発のアウトドアブランド「OUTDOOR PRODUCTS」を取得、インターネット通販事業強化による販路拡大や汗染みが目立たないTシャツ「ZERO STAIN」といった機能性商品の開発に取り組むなど競合他社との差別化を進めたが、「ワケあり」をもってしても結果を出すことはできず、2008年以降は赤字から脱却できない状況が続いていた。  そのような状況下で、2017年2月に突如発表された同社のRIZAPグループによる連結子会社化は、顧客にとって大きなインパクトを持って受け止められた。
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ジーンズメイトを変えた3つの変化
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