業績不振のRIZAP傘下で、ジーンズメイトが赤字体質に「劇的にコミット」できたワケ

「ワケあり」「24時間」「路面店」から脱却! 顧客拡大のカギは「パスポート」と「ワンダーグー」!?

 RIZAPによるジーンズメイトの買収は「変化」を期待させるものであった。100円台後半まで低迷していた株価も、RAIZAPグループ入りから僅か1年足らずで一時1,300円台後半まで回復するなど、大幅な上昇を見せた。
ジーーンズメイト店舗

RIZAPグループ入り後のジーンズメイト店頭。以前は「男性向け」を前面に押し出す店舗もあったが……?

 RIZAPグループ傘下入りによる大きな変化は3つあった。  まず1つが、かつて次世代の主力業態として期待された「ワケあり本舗」からの全面撤退だ。  ワケあり本舗はジーンズメイトのアウトレット新業態として2010年10月に1号店をオープン。カジュアル衣料に加え、生活雑貨や化粧品、靴といった幅広い商品を「処分価格」で販売することで、最盛期には三大都市圏と福岡県内に20店舗以上を展開するまでに成長した。  しかしながら、当時経営不振にあえいでいたジーンズメイトの“不良在庫の処分場”と化したワケあり本舗は価格訴求性以外の魅力に乏しく、抜本的な業績回復の切り札とはならないばかりか同社の「経営不振の象徴」ともなってしまった。  そこで、RIZAPグループ傘下となって以降は「ジーンズメイト」「OUTDOOR PRODUCTS」の2ブランドに経営資源を集中すべく、業態の集約と店舗のスクラップ&ビルドを実施。ワケあり本舗は2017年12月をもって全店が閉鎖され、多くの店舗がジーンズメイトへと業態転換された。
ワケあり本舗

営業当時のワケあり本舗

 もう1つの大きな変化が、殆どの店舗での「24時間営業の廃止」だ。  ジーンズメイト最大の特徴であった「24時間営業」は1998年の開始以降徐々に実施店舗を拡大。最盛期には殆どの店舗が「眠らないジーンズ店」となり、同社の知名度を押し上げる役割を果たしたものの、経営面においては成功しているとは言い難いものであった。  この24時間営業については、以前からの顧客の要望やインバウンド需要の増加により今年7月から都心4店舗(池袋本店・蒲田店・立川店・川崎駅前店)でのみ再開したが、近年はドン・キホーテをはじめとして深夜営業を行う競合店も増えていることから、これ以上の再拡大は業績に「コミットしない」であろう。  そして、もう1つ、最大の変化と言えるのが「路面店中心」から「商業ビルイン店舗中心」へと「展開エリアを変更」するとともに、それに合わせて「客層の拡大」を図ったことだ。
ショッピングセンター内の店舗

ジーンズメイトは路面店からショッピングセンターシフトを強めている。新しい店舗ではロゴも変更された

 ショッピングセンター内への出店は他社との競合が厳しくなる半面、これまでショッピングセンターを中心に展開していた人気雑貨店「ハピンズ」(旧名・パスポート)がRIZAPグループとなったことで、同社のノウハウを取り入れつつ共同仕入れを実施することも可能となった。それにより、ジーンズメイト店舗でもこれまで「パスポート」で取り扱っていたような女性向けホームウェアや「カワイイ系」ファンシー雑貨などの販売も開始したほか、女性客向けの着まわしコーディネート提案型店舗「jM」の出店を開始するなど、顧客拡大に向けて「ジーンズメイト=男性向け中心」というかつてのブランドイメージからの脱却も図った。
次のページ 
買収企業のシナジー効果が今後を左右する!?
1
2
3
4