抗日遊園地にラブドール仙人の庵!? 秘境ライター3人が選ぶ、「世界のさいはて」とは?

ラブドール仙人の庵を訪ねて

 そして、いよいよそれぞれの「さいはてスポット第一位」の発表となり、安田氏からは「ラブドール仙人の庵」が放たれた。  安田氏は中国貴州省の人里離れた山中で8体のラブドールと共同生活を送る「ラブドール仙人」(60歳男性)の自宅に3日間、ホームステイしたのだった。ラブドール仙人は中国のSNSでは有名人で、ファンサイトまである人物だ。
仙人宅

ラブドール数体と暮らす仙人宅にホームステイ(写真は仙人のコスプレ作品)

 そして、さらに後日談が。 「そのとき『週刊文春』の仕事で中国エロ事情を取材する話があり、上海で大人のおもちゃなどの見本市『性文化展』に行く計画を立てていました。それで仙人に相談したら、『それはわしも行くぞ』と。会場に入ると、『うわあ、仙人』みたいな感じで各ラブドールブースの方が寄ってくるんです。仙人もスイカの品評会を見るかのように『今年はできが上がったな』みたいな話を各ブースを周りながらするんですよ」(安田氏)  広大な会場に並べられた中国の大人のおもちゃに興奮を隠しきれない安田氏とは反対に、仙人は「これはつまらん」と言いつつサッサと歩みを進める仙人。 「要は、ラブドールが置いていなかったらなんの興味も示さないんです。『うわあ、仙人はブレてない』と思いました」(安田氏)
ブドールに衣装

自慢のラブドールに衣装を着せて見せてくれた(写真:安田峰俊)

 ちなみに安田氏が、広東省の人造人科技という中国の大手ラブドール企業と名刺交換すると、後日微信を通じて、「日本に我々のラブドールを売りたい。あなたが売ってくれないか」と提案されたという。 「『ちょっと考えるから時間ください』と返して、まだそれ以上の話はしていないんですが、もしかしたら私、副業でラブドールを売ることになるのかなあ、というような、そんなことを悩んでいる今日のこのごろです」(安田氏)  続いて西谷氏は、上海の寿司屋の厨房の様子を第一位に挙げた。  西谷氏がバイトした上海の寿司屋の厨房は一見、近代的で「意外ときれいだな」という印象だった。しかし、よくよく同僚たちの仕事ぶりを観察すると驚かされることばかりであった。  特に仰天したのは、従業員が床で魚を捌く光景だった。
と床で魚を調理

上海の寿司屋では、なんと床で魚を調理していた(写真:西谷格)

「設備は日本同様にきれいなのに、振る舞いがなんかおかしいんです。その最たる例が、床上で調理をする場面。写真だけ見ると違和感があるのですが、実際の動きは非常にナチュラルで、なんら変わったことをしているという素振りはない。おもむろに魚を取り出して、あ、よいしょって感じでしゃがみ、魚をばさばさと切って、切り終えると、まな板ごとホースで水をかけて、「あ、でき上がり」。ものの1~2分ぐらいの感じでちゃちゃちゃと作業を終える」
味噌汁

気だるい雰囲気で味噌汁を仕込む従業員(写真:西谷格)

 こちらはみそ汁をつくってる場面。全体的に気だるい雰囲気が気になるが……。 「下のほうにある弁当箱に注目してください。実はこれ、お客さんに出すランチ用の容器なんです。すぐ近くに足があるし、なんか変な床の汁とか飛ばないといいなあと思いながら見ておりました」(西谷氏)  そんな彼らも、自分たちが食べる賄いの皿は熱湯で消毒していたという。よくも悪くも、自分と他人とをはっきり分けるという中国人の気質のようなものを垣間見れたと西谷氏は語った。 「ただ同僚たちは非常に優しくて、日本人でちょっと年を食っている異物的な私を、割と温かく迎え入れてくれたことはとてもありがたかったなあと、そんな場所でありました」(西谷氏)
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なんでもありだったフィリピンの刑務所
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