なぜコスタリカは、難民が発生すると国境を開放して迎え入れるのか?
中米・ニカラグアから、大量の難民が陸続きの隣国コスタリカに流入してきている。コスタリカは彼らを受け入れるため、国境を開放した。世界中で移民・難民を排除する潮流が強まる中、コスタリカは真逆の政策を取っている。
ニカラグアでは約半年前から政府による市民への弾圧と虐殺が始まり、死者は数百人を数える惨事に発展している。すでに数万人のニカラグア人が陸路コスタリカに向かい、難民化している。
国境最大の検問所がある、ペニャス・ブランカス。ちょうど筆者が到着したとき、メキシコからパナマまで陸路でつないでいる国際長距離バスが、コスタリカへの入国手続きをしている乗客を待っているところだった。
そのかたわらに、入国手続きの列に並ぶでもなく、ベンチにもたれかかるようにうなだれている人たちが目に入る。ニカラグア国内の混乱から逃れてきた難民たちだ。彼らに聞いてみた。
――ニカラグアは今どんな状況なんですか?
「マナグア、マサヤ、グラナダ、レオンなど、中心都市は混乱したままです」
――どんな混乱ですか?
「政府による暴力ですよ。警察が暴力を振るったり、拷問したりしています。学生や教会の神父さんが狙われて、500人くらい亡くなったみたいです。非武装の市民が平和的に行進しているところに、警察や政府系の民兵が銃で狙撃しているんです」
――その状況から逃げてきたんですか?
「はい。危なくて仕事もできませんし、誰も助けてくれませんから」
――入国に必要な書類は持っていますか?
「持っていません」
――それで大丈夫なんですか?
「はい。1時間半くらい待っていますが、もうすぐ手続きは終わりそうです」
――そうですか。無事を祈っています。
筆者はそう言い残し、入国管理局の先にある国境線に向かった。
着の身着のままで国境に逃れてくる難民たち
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