なぜコスタリカは、難民が発生すると国境を開放して迎え入れるのか?

「密入国なんかせずに、国境の検問所に来れば通れるのに」

自転車タクシー

ニカラグアとの国境からコスタリカの入国管理局までは、自転車タクシーが大活躍。のんびりとした雰囲気が漂う

 コスタリカ政府は、ニカラグアの政情が不安定化すると、国境を開放する策を採った。検問所に来れば、正式に国境を越えるための書類(パスポートや身分証明書など)がなくとも、その場で書類を作成して越境できる。  同時に、難民キャンプを国境近辺や首都近郊に開設し、行き場を失った人たちを受け入れている。事実上無制限の難民受け入れ政策だ。その結果、万を超える難民が身ひとつで続々とコスタリカに入国している。  国境線に面している簡素な検問所を警備する警察官が、国境を行き来する人びとのドキュメントをチェックしながら、現状を説明してくれた。 「ここでは特に問題は起きてないよ。むしろ、検問所を通らずにコスタリカに入ろうとする人たちがいるのが悩ましいね。そうなると密入国になるから、取り締まらなきゃならなくなる。特に麻薬密売人と間違えられたりして危険だ。検問所に来れば書類がなくても問題なく通れるのに」  なぜそんなに国境をあけっぴろげにするのか。尋ねる筆者に対し、彼は即座にこう答えた。 「そりゃあ、人権問題だからね」  それ以上に何か説明が必要だろうか? と言わんばかりだ。  実はこれまでも、近年のコスタリカはニカラグアの危機に際して国境を開放してきた。特に大規模だったのは、コスタリカを除く中米全土を襲った大型ハリケーン・ミッチによる甚大な被害から逃れてきた人たちを受け入れた1998~99年だ。ニカラグアでは3000人を超す死者・行方不明者を出す大災害となった。  この時コスタリカ政府は、ハリケーン被害から逃れてきた難民に対し、更新可能な一時的市民権を付与する政策まで採っている。コスタリカの開放的国境政策は今に始まったことではないのだ。
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移民排斥論を押し止めるもの
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