一方で、パラグアイの今回の決定には、アラブ諸国からの圧力があったともされている。8月のアブド・ベニテス大統領の就任式にパレスチナからマリキ外相が出席。その際に、カスティグリオニ外相にテルアビブへの大使館の復帰の説得に努めたというのがパレスチナ通信(WAFA)が明らかにしている。(参照:「
HispanTV」)
また、実はイスラエルがアスンシオンから大使館を撤退させたことは今回が初めてではない。イスラエルは2002年に予算の関係からだとして在パラグアイ大使館を閉鎖したことがあるのだ。それに応えてパラグアイもテルアビブの同国大使館を閉鎖。イスラエルが2014年にアスンシオンに大使館を再開すると。その翌年2015年にパラグアイも同様にテルアビブに再開したのだ。(参照:「
Ultima Hora」)
イスラエルはパラグアイから牛肉の輸入ではスイス、ブラジルに次いで3番目の輸入国となっている。イスラエルが今後もパラグアイからの牛肉の輸入量を維持するか否か疑問視されている。その一方で、今後はアラブ諸国との経済面の発展も期待されている。
また、パラグアイは南米で台湾と国交を結んでいる唯一の国でもある。そのため、ここ最近南米で幅を利かせている中国からの経済援助は期待できないという状況にある。
大国の思惑に左右されるのはいつもこうした小国なのである。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身