パラグアイ、在イスラエル大使館をエルサレムに移転するもわずか4か月でテルアビブに戻すことにした理由

なぜパラグアイは方針転換をしたのか?

 パラグアイの政治は2008年から2013年までの期間を除いて、この70年余り保守系のコロラド党が政権を担っている。カルテス前大統領もアブド・ベニテス新大統領も同じコロラド党員であるが、両者は党内では敵という関係にあったという。  前者がエルサレムに大使館を移転させるという決定について、後者に事前の相談がなかったのだという。この点が大事なのは、大使館を移転させるひと月前に大統領選挙が実施されており、次期大統領がアブド・ベニテスになるということが決まっていたのである。即ち、次期大統領になる人物に相談もなくカルテスは大使館を移転させたということになる。  アブド・ベニテスは、カルテスがエルサレムに大使館を移したということに対して正式に反対は表明していなかったが、移転させたことについて見直す意向であることは大統領に就任する前に表明していた。(参照:「Prensa Libre」、「La Prensa grafica」)  ベニテス新大統領の父親は、1954年から40年余りパラグアイの政権を維持したアルフレド・ストロエスネル将軍の右腕として活躍した人物ということで、その息子として知名度は高かった。しかし、今回の大統領選挙では自由党候補と3.71%の得票率という僅差で大統領になったという背景もあり、民意をより重視した政治の実行が義務づけられていた。その意味で前任者の独断的な大使館移転に多くの国民は納得し兼ねているという事情もあったのだ。  一方、カルテス前大統領は今回のテルアビブに大使館を戻す決定について、「今日、ユダヤ教とキリスト教の文明の価値が背かれた。今日、我々の一人の友達が背かれた。今日、パラグアイの人たちの意思と感情が背かれた。今日、パラグアイとイスラエルの友情が背かれた。イスラエルに背いた国は高い代償を払わされることになる」と表明している。しかし、エルサレムに大使館を移転させた動機について彼は言及していない。

新大統領は「公正で恒久な平和を望む」とツイート

 今回の決定を下したアブド・ベニテス新大統領は「パラグアイは原則を尊重する国。今回の決定の精神はイスラエルとパレスチナの間で広く、公正かつ恒久な平和を達成することを望むものだ。そして、常に国際法を尊重する我が国だ」とツイートした。  また、カスティグリオニ外相は「我々の友好国イスラエルが(今回の決定に)迷惑を感じているとは思わない。パラグアイは歴史的にも友好国であり同盟国である。イスラエル国家の建国にパラグアイが決定的な一票を投じたことは忘れられるべきではない」と強調している。(参照:「Ultima Hora」)
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大国の思惑に翻弄される小国
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