杉田水脈さんは、月刊誌『新潮45』で、「LGBTは生産性がない」と言い切りました。杉田水脈さんのご主張を読まずして批判するのは申し訳ないと思ったので、きちんとお金をドブに捨てるつもりで同誌を買い、この記事を書いております。
杉田水脈さんは「文章を切り取って印象操作している」と反論していますが、最初から最後まで読んでみて、「切り取っても酷いが、切り取らなければもっと酷かった」だということに気づかされましたので、改めて検証させてもらおうと思います。
ネット上では「LGBTは生産性がない」という部分だけで議論されていますが、ちゃんと読むと、100倍酷い。こんな人間が国会議員をやっている日本がつくづく残念でなりません。
“例えば、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同を得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか。にもかかわらず、行政がLGBTに関する条例や要項を発表するたびにもてはやすマスコミがいるから、政治家が人気とり政策になると勘違いしてしまうのです。”(『新潮45』より)
この文章を読めば分かるように、杉田水脈さんは「生産性」とは「子供を作ること」だとキッパリ断言していらっしゃいます。
男女のカップルの不妊治療に税金を投入するのは「生産性がある」ことで、LGBTの支援には「生産性がない」と言うのです。しかも、政治家がLGBTの問題に取り組んでいるのはあくまで「人気取り」で、「勘違い」であるとまで言っているのです。こんなに酷い解釈があったでしょうか。性的マイノリティの日本最大のイベントである「東京レインボープライド2016」に登場したことを得意げに吹聴していた同じ自民党の先輩、稲田朋美議員を中傷するのも程々にしていただきたいところです。
杉田水脈さんに言わせれば、LGBTの方々は障害者ではなく健常者なので、この人たちに税金を投入する必要はないとおっしゃっています。
しかし、税金というのは必ずしも障害者や社会的弱者のためだけに使われているわけではありません。
多くは健常者のために使われており、例えば、起業支援の助成金は、ざっくり言えば大金持ちを夢見ている何一つ不自由のない人たちへの税金投入とも言えます。時にはブルジョワな生活をしている人にも税金が投入され、起業がサポートされています。しかし、こうした人たちに税金が使われていても文句を言う人はあまりいません。日本の経済を回していくためにはベンチャー企業にも頑張ってもらいたいという人が多いからなのですが、税金が弱者のためだけに使われているというのは幻想です。図書館やコミュニティーバスを健常者が使ってはいけないわけでもないし、広く市民や国民のために使われる税金はたくさんあります。
こんな基本的な理屈もわからない人物が恥も外聞もなく国会議員をやっているなんて、そりゃ日本の発展が伸び悩むわけです。杉田水脈さんの差別意識は、この一文にも垣間見えます。
“マスメディアが「多様性の時代だから、女性(男性)が女性(男性)を好きになっても当然」と報道することがいいことなのかどうか。普通に恋愛して結婚できる人まで、「これ(同性愛)でいいんだ」と、不幸な人を増やすことにつながりかねません。”
いつから「同性愛」が「不幸」になったのでしょうか。ある人が本当に好きなパートナーと結ばれるのは、その相手がいかなる性の持ち主だとしても幸せなことのはずです。なぜ同性愛だと「不幸」なのでしょうか。
世界中でLGBTを理解し、「同性愛が不幸ではない世界」を目指す取り組みが実行されている中で、「同性愛者は不幸」だと言い切り、税金を投入するのは「生産性がないからダメ」と言ってのけるのが、まさかの国会議員。「同性愛者を不幸にしているのはオマエだろ、バカタレ!」です。
こんな人が国会議員を続けていていいのでしょうか。