「脱・東京」をして千葉県匝瑳市に移住して2か月半の暮らしぶり
家の窓から、日の出後の太陽を眺める
「目指せ経済成長、万歳!」みたいな世の風潮に「おいおい、ちゃうでしょ」と感じ、そうはいっても「世に背を向けて逃げるのか?」「こんな自分でいいのか?」と悩んで、呑気な俺が営んでいたオーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」に訪ねてきた人たち。退職するかどうかで悩んでいた、彼らの背中を押し続けて14年。“退職者量産バー”の異名がついた。
えっ、どこへ押すって? 奈落の底? んなことしませんよ! 酒代と引き換えに「安心」駅や「幸福」駅への片道切符を届けてきたつもりだ。
仕事を辞める、へ。
消費を減らす、へ。
東京(都市)を卒業する、へ。
「脱・会社」「脱・消費」「脱・東京(都市)」とは? 「脱」を重ねて何を得てゆくのか?
14年間のオーガニック・バーを閉じ、千葉県匝瑳市に移住して2か月半。今は毎晩、月を見ながら暮らしている。毎朝、日の出を眺めて暮らしている。
10年前から匝瑳市に通って、山に囲まれた田んぼで妻と2人で米作りをしてきた。もちろん無肥料・無農薬で、除草剤も使わない。5月に田植え、その後1~2週ごとの草取りをする。7月を過ぎると草取り頻度はさらに下がり、8月は何もしない。9月~10月の収穫は天候に合わせて作業する。
手間がかかりそうに聞こえるだろうが、全行程の作業日数は15日前後。田植えや稲刈りの時は日中すべて使う日もあるが、草とりなど付随の作業は1~3時間前後で済む日も多い。そしてこの上なく気持ち良いし、楽しい。3畝(約300㎡)の広さで、毎年150kgの収穫。3人家族で十分余る。
田んぼの畦には大豆を植え、醤油と味噌を自作する。6月は梅を拾い、梅干しを仕込む。秋にはたくさんの柿をもらうので柿酢をこしらえる。田んぼの里山には、野草や山菜が自生している。フキ、コゴミ、明日葉、ウド、三つ葉、タケノコ、ミョウガ、ノビル、マコモ、などなどが採り放題。
妻は野菜を育てることが大好きだ。時間があれば、小さな畑で何かしら作業をしている。地域で親しくしている方々からはたくさんの季節の野菜をいただく。有り余るほどで、友人たちにも配るほどだ。