日本人はバブルが崩壊して30年近くが経った今も「大国意識」が残っている。アメリカは別格にしても、その次くらいのポジションにいるという感覚をなかなか消せていない。しかし人口が減り、経済成長力も落ちている中で、日本の地位は相対的に低下した。お金や施設、強化へのリソース投入といった部分を見れば、日本はアジアでも「まあまあ」のレベル。そんな中でサッカー、バスケのようなグローバルスポーツが結果を出すことは容易でない。
一方で「落ちぶれた」と卑屈になることがいいとも思わない。日本経済が30年に近く渡って低迷を続けている中でも、JリーグやBリーグは社会に根を下ろしているし、競技に打ち込んでいる魅力的な若者もいる。若年層が激減し、加えて様々なしわ寄せが及んでいる中でも、スポーツ界は“政財官”に比べるとよほど元気だ。
まずグローバルスポーツの中で日本の置かれた位置を「外の目」で観察し、等身大の自己評価ができれば、皆さんもスポーツに止まらない学びを得られるはずだ。
何がスポーツの醍醐味かといったらそれは「チャレンジ」だろう。「地位を守る」「追い上げを受ける」側ではそのような経験ができない。日本は長く社会的経済的な困難に直面し、スポーツ的にも「アジアの盟主」ではなくなった。一方で「自分より恵まれた人に立ち向かう」というチャレンジャーの爽快さを味わえるようになった。そうやって発想を切り替えれば、我々はグローバルスポーツをもっと楽しめるはずだ。
【大島和人】
’76年生まれ。大学在学中はテレビ局のリサーチャーとして世界中のスポーツを観察。早稲田大学を卒業後は外資系損保、調査会社などの勤務を経て、’10年からライター活動を開始。サッカー、バスケット、野球、ラグビーなどの現場にも半ば中毒的に足を運んでいる
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dann_garcia via flickr(CC BY-SA 2.0) >