あの展望台から富士山が消えた!――変化を遂げる浜松町、「陸・海・空の交通結節点」に

水上交通と鉄道、空の交通結節点に!

 一方で浜松町駅の南東(海側)では、「浜松町ビルディング」(旧・東芝ビルディング)とその周辺の再開発が予定されている。  旧・東芝ビルディングは地上40階、高さ約169mの超高層ビルで、2013年に東芝本社機能の大部分が川崎市に移転したことに伴い「浜松町ビルディング」へと改称されている。なお、東芝の登記上の本社所在地は現在も浜松町ビルディングに置かれている。所有者はNREG東芝不動産。同社はかつての「東芝不動産」であるが、2008年から野村不動産の傘下となっている(現在も東芝が一部株式を保有する)。

浜松町ビルディング(東芝ビルディング)

 浜松町ビル周辺は国家戦略特区の都市再生特別地区に認定されており、野村不動産、NREG東芝不動産、そして敷地の一部を保有する東日本旅客鉄道(JR東日本)の3社による再開発が行われる。再開発エリアは約4.7haに及ぶ広大なもので、隣接する「東芝浜松町ビル」や、かつて車とともに移動できる寝台列車「カートレイン」の乗降場としても知られたJRの貨物線跡地なども含まれる。  浜松町ビルは世界貿易センタービルよりも約17mほど高く、やはり国内で解体される建物としては最高層のものとなる。また、東芝浜松町ビルはニュースなどで目にする機会が多い「TOSHIBA」ロゴが屋上に掲げられている建物であるが、こちらも間もなく解体されることになる。

テレビでお馴染みの「東芝浜松町ビル」も解体される。東京モノレールを挟んで右手前の線路はかつてカートレインの乗降場もあった貨物線跡だ

 新たに建設される「(仮称)浜松町一丁目計画」は高さ約235mの超高層ツインタワーで、設計は幕張メッセなどを手掛けた槇文彦氏。  北側の「N棟」(仮称、地上47階・地下5階建て)、南側の「S棟」(仮称、地上46階・地下5階建て)で構成され、両ビルを合わせた延床面積は約55万㎡にも及ぶ。2020年ごろの着工を予定しており、S棟が2023年、N棟が2029年の完成を目指して工事が進められる。

「(仮称)浜松町一丁目計画」完成イメージ(JR東日本ニュースリリースより)

 新ビルの地下階・下層階は一体化され、大型商業施設や大型駐車場、機械室となるほか、S棟、N棟の中層にはオフィスが、N棟の高層階には住宅が、S棟の高層階にはホテルが入居する計画。これまでショッピングスポットやラグジュアリーホテルが少なかった浜松町エリアだけに、これらの施設にかける期待も大きいであろう。  なお、気になるのは現在経営再建中の東芝グループが再び当地に戻って来るかどうかであるが、再入居するかどうかは現時点では発表されていない。

計画断面イメージ(フロア構成)(JR東日本ニュースリリースより)

 この再開発で注目されるのは、再開発エリアの東側に隣接する芝浦運河沿いを憩いの場として整備するとともに、桟橋を設置、旅客船(水上バス)の発着地とすることが検討されているということだ。  桟橋の設置は観光目的のみならず、再開発によりオフィス面積が増加する浜松町エリアの通勤混雑の緩和も目的としており、JR浜松町駅との結節強化・連絡通路のバリアフリー化も実施することで水上バスと鉄道の乗り換えの利便性も図られる計画だ。将来的には、浜松町が海上・水上交通と鉄道、そして空(羽田空港)との一大交通結節点となることも考えられる。

「(仮称)浜松町一丁目計画」完成イメージ(JR東日本ニュースリリースより)。芝浦運河沿いには水上バスの発着場が設けられ、通勤、観光に活用される

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竹芝駅周辺でも大型再開発が
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