中国通信大手ZTEが米企業と取引禁止に! ドコモなど日本企業への影響は?

ドコモの二画面スマホもZTEとの共同開発だ

 米国商務省傘下の産業安全保障局(BIS)は中国の通信機器大手・中興通訊(ZTE)とその子会社を取引禁止顧客リストに掲載した。米中の貿易摩擦が激化する可能性もあり、一連の事案の背景と影響を解説する。

なぜ、取引禁止になったのか?

 BISは2018年4月15日付けでZTEと同社の完全子会社の深圳市中興康訊電子を禁止顧客リストに掲載した。期間は2025年3月13日までの約7年間だ。  ZTEなどは長期にわたり通信機器をイランなどへ違法に輸出したため、BISは2016年3月にZTEなどを輸出制限の対象者に指定する措置を発動した。イランでの取引先にはテロ支援に関与するイスラム革命防衛隊系列の通信事業者も含まれる。輸出制限の対象者への輸出は許可制で完全な禁止ではないが、調査への協力などを条件にBISは措置の発動まで猶予期間を設定し、複数回にわたり猶予期間を延長した。ZTEは複数の規則への違反を認め、2017年3月に米国政府と制裁金の支払いや複数の条件に合意して和解した。  和解の条件には違法行為に関与した者への処分などが含まれたが、ZTEはそれを十分に履行せず、虚偽の報告を繰り返したため、BISは禁止顧客リストに掲載した。当初は輸出制限かつ猶予期間を設けるなど、振り返れば比較的寛大な措置だったが、ついにBISも堪忍袋の緒が切れたという形だ。  米国商務省は禁止顧客リストの掲載に係る発表で「ZTEは米国商務省を欺いた。見逃せない。」と怒りを表した。米国商務省の発表を受けて、すぐにZTEと中国商務部も声明を発表した。  ZTEは「影響を全面的に精査し、関係者と対応などを協議する。」と案内した。中国商務部は報道官談話として声明を発表し、「中国政府は外国で事業を営む中国企業に受入国の規則を遵守するよう要求してきた。ZTEは数百もの米国企業と協力し、数万人の雇用に貢献した。状況の進展に注意を払い、中国企業の正当な権利と利益を保護するため必要な措置を講じる用意がある。」と何らかの対抗措置を準備する構えも見せた。
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最悪の場合、ZTE廃業も!?
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