コンビニ+驚きのコラボも!「異業種一体型店舗」に挑むファミマ、その成否は?

二兎を追う者は……不発に終わった「コラボ」も

 順調に進められた異業種コラボがある一方で、壮大な出店目標が打ち出されながら「不発」に終わった一体型店舗もある。  2014年7月に和食店「まいどおおきに食堂」などを展開するフジオフードシステム(大阪市)との提携で豊島区東池袋に1号店を出した「まいどおおきに食堂」との一体型店舗は「都心のコンビニ内に和食店」という異色コラボで注目を集め、当初は「5年間で200店」という出店目標が掲げられたものの、面積敵制約もあって飲食店としての機能は中途半端なものに留まっており、2017年現在も2号店の出店には踏み切れていない。

「まいどおおきに食堂」とファミマのコラボ店舗(豊島区東池袋)。コンビニ内にまいどおおきに食堂が入居、同社の惣菜も販売するなど異色の一体型店舗として話題を集めたが、店舗面積の制約もあり「食堂」としての機能は中途半端なものだと言わざるを得ない

 ファミマとの異業種コラボの先駆け的存在であった大手家電量販店「ベスト電器」(福岡市)との共同出資会社(2006年設立)も思うような成果を出せず、都市部を中心に一部のベスト電器店内や店舗の駐車場に通常タイプのコンビニを出店したのみで会社は解散。2017年現在、同社とのコラボ店舗は姿を消している。

「ベスト電器」とファミマのコラボ店舗(北九州市若松区)。多くは既存の家電量販店内にファミマが出店する形式だった。この店舗も2017年に閉店し、現在はベスト電器の売場へと戻されている

 また、カラオケ大手の第一興商(東京都)が展開するカラオケ店「カラオケDAM」との一体型店舗は、2014年4月以降に大田区蒲田、松戸市に2店舗を構えたが、「3年間で30店」という目標には到底及ばなかった。  一見、ファミマとコラボ企業の「いいとこ取り」にも思える一体型店舗だが、都市部のテナントビルやもともとあったカラオケ店や家電量販店内といった限られたスペース内に異なる機能を同居させようとすれば、個々の売場は単独出店した場合よりも狭くなるうえバックヤードなどの制約も増加する。そうした面積的な障壁が品揃えやサービスの質を悪化させ、「二兎を追う者は一兎をも得ず」となってしまうなら、業種・業態によっては「一体型」よりも「単独出店」の方が賢明な選択肢となるのだ。  もちろんそれは2019年度末までに500店設置が目標のコインランドリー、5年をめどに300店展開を目指すフィットネスジムにも当てはまる理屈だ。  広い土地が確保できる郊外のみでの展開となるならまだしもフィットネスクラブとのコラボ店舗の1号店は東京都大田区で、店舗面積など様々な制約から理想的なサービスの提供が難しいと判断された場合は、目標数に届くことなく展開が打ち切られる可能性もある。

郊外地域のファミマに設置されたコインランドリー。2018年から本格展開されるコインランドリー併設店もこういった形式になるのだろうか。この店舗では地場スーパーが生鮮品を販売しており、広い面積が確保できる郊外ではこうした多彩な店舗形態も容易なのだが……

 このように、都市部におけるファミマの異業種コラボ店舗は、「面積的な制約」や「店舗の使い勝手」が事業の成否と切っても切り離せない状態となっている。しかし、これとは逆に土地の広い地方の郊外地域では、今回紹介したものとは全く異なる目的を持った「異色のコラボ店舗」の展開も進みつつあるのだ。 ※次回「異色のコラボ店舗」についての考察は近日公開予定。 <文/若杉優貴 佐藤 取材・撮影/淡川雄太 佐藤(都市商業研究所)> 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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