コインランドリーやフィットネスジムを備えた店舗を拡大すると発表したファミマ。同社が展開してきた「異業種一体型店舗」の延長線上にある事業だが、コンビニ内からフィットネスクラブに入れるという斬新な店舗の成否やいかに?(ファミリーマート公式サイトより)
ドラッグストアに書店、道の駅、はたまたスポーツチームやゲーム、アニメ…今やコンビニの「異業種コラボ店舗」といえば珍しくなくなったが、そのなかでも他社とは毛色の違う一風変わった「一体型店舗」を生み出しているのがファミリーマート(以下、ファミマ)だ。
ファミマは近年、他業種・他業態とのコラボ店舗の展開を積極的に進めており、2018年からはコインランドリー、そしてなんとフィットネスジムなどとの一体型店舗を新規開発すると発表。コンビニと異業種との融合により、新たな消費者ニーズの発掘をすることで顧客の拡大を図る方針だ。
コンビニ内にフィットネスクラブが出来るとは驚きであるが、こうした異業種コラボには、うまくいったものもあればパッとしないまま終わったものがあるのもまた事実。“合わぬ蓋あれば合う蓋あり”な異業種コラボの現状から、新事業の成否の行方が見えてきた。
成功のはじまりは「中堅ドラッグストア」とのコラボだった
ファミマの異業種コラボにおける成功の走りとなったのは、2012年頃からはじまった中小ドラッグストアとの連携だ。
近年のドラッグストア業界では、インスタント食品や菓子などのEDLP(エブリデイロープライス)で集客して高単価な薬で稼ぐスタイルで西日本最大手となったコスモス薬品や、イオン傘下のもとでM&Aを重ねて売上高1位、2位にまで登りつめたウエルシア薬局、ツルハドラッグといった勢力が業界の覇権を握る展開になっており、これらの大手チェーンが郊外への大型店出店や都心への多店舗展開を推し進めている。
その一方で、小規模店の展開が中心となる中堅ドラッグストアは価格競争や品揃えで大手に歯が立たず、大手への吸収や規模の縮小を迫られるチェーンも少なくない。
M&Aにより店舗網を拡大させたイオングループの「ツルハドラッグ」(札幌市)。9月には静岡の杏林堂を買収し、ついに業界1位に登りつめた
そんな苦境の中堅ドラッグストアに「救いの手」を差し伸べたのはファミマだった。
ファミマは2012年5月に「ヒグチ薬局」(東大阪市)との一体型店舗を東京都千代田区に開業させて以降、全国各地で中堅ドラッグストアとの一体型店舗を続々と展開。中堅ドラッグストアの弱点となっていた食料品や日用品の販売をファミマが担い、さらに公共料金の支払いや印刷サービスといったコンビニ独自の機能を付加価値として提供している。
こうしてファミマという“虎の威”を借ることで、中堅ドラッグストアは大手各社への対抗の芽を見出したのだ。
JR小岩駅前にある「コクミンドラッグ」とファミリーマートの一体型店舗。大阪に本社を持つコクミンドラッグはかつて「マツモトキヨシ」(2017年現在は業界3位)に次ぐ売上を誇っていたが、近年は新興勢力に押され後塵を拝している
また、中堅ドラッグストアに続いて調剤薬局もファミマとの一体型店舗の展開を開始。調剤の待ち時間をコンビニで潰せるとあって好評を得ている。
2017年現在はファミマに続いてローソンやセブンイレブンなどのコンビニ他社もこうした「ドラッグストア・薬局一体型店舗」の展開を開始しており、登場から僅か6年にして、早くも業界では「定番コラボ」となりつつある。
また、中堅ドラッグストアに続いて調剤薬局もファミマとの一体型店舗の展開を開始。調剤の待ち時間をコンビニで潰せるとあって好評を得ている。
2017年現在はファミマに続いてローソンやセブンイレブンなどのコンビニ他社もこうした「ドラッグストア・薬局一体型店舗」の展開を開始しており、登場から僅か6年にして、早くも業界では「定番コラボ」となりつつある。