サイズ以外はほぼ本物と同じリング
プロレスは懐が深いジャンルだ。一部のタイトルマッチをのぞき、年齢や体重による制限は無く、男女が闘うことだってある。今回はある意味で究極の無差別級といえる「ロボットプロレス」を紹介しよう。
日本には二つのロボットプロレス団体(プロモーション)が存在する。ひとつは2008年に埼玉で設立された「できんのか!」、もうひとつが今回紹介する大阪の「チームばんび」だ。今回は今年11月11日におこなわれた旗揚げ1周年記念大会のもようを伝えよう。
大会は大阪・アジア太平洋トレードセンターでの「関西オープンフォーラム2017」内で開催された。オープンソースソフトウェアの活用例を紹介するブースや、AIや開発手法についての講演など、非常にテクニカルなイベントだ。
技術解説のブースが立ち並ぶ中ひときわ目をひくものがある。2m四方のリングだ。鉄柱やロープはもちろん、リング脇には入場ゲートまで設けられている。ニシキ工業(名古屋市)による一品物だ。
まず選手・スタッフの無事の祈願がリング上でとりおこなわれる。鳥居が設置され、巫女型ロボット「AMATERAS」が御幣をふるい一礼する。
負傷・故障せず終わるように祈願
そして、オープニングマッチだ。音楽にのり選手がゲートから入場。さすがにリングインはセコンド(人間)の手を借りるが、堂々たる姿だ。両腕をふって観客を煽るのは、人間のプロレスラーとまったく同じだ。
相手をダウンさせれば得点となり、スコアで勝敗を決するポイント制ルールの試合だ。闘うのは「シンプルファイター」と「ワルー」の2選手。ロボットというと重厚なイメージを抱くが、両選手のステップは軽やかだ。機械音をあげながら、相手に向かっていく。
ファーストコンタクトはシンプルファイターのパンチ。しかし勢いあまって転倒してしまう。セコンドが起こすかと思いきや、自分で手をついて難なく立ち上がるのに驚かされた。
その驚きも消えぬ間に、つぎの衝撃がやってくる。シンプルファイターは片足をついて、もう片足を高くあげ相手を蹴り抜いた。プロレスでいう「スーパーキック」だ。さらにアッパーカットで相手をリングから落とし、観客へアピールする。