財務省側が森友学園に便宜の揺るぎない証拠。大阪地検特捜部は近畿財務局を強制捜索すべき

弁護士はどう見るか?

 阪口弁護士は、 「池田氏は、『僕はあの~、合致する金額をご提示したいと思ってるだけです。』と明確に述べています。「合致する金額」とは有益費の1億3千万円を上まわる価格と森友学園の出せる金額の1億6千万の間で「双方が合致する金額」するであることが、この録音テープで客観的な証拠として初めて明らかになったわけです。また、このやり取りが5月31日の山本鑑定人の鑑定前に提案していることも重要です。国土交通省の定める積算基準で売却価格を算定していないことつまり『国の為に適正金額を積算していない』ことを裏付ける背任罪の「図利加害目的」があったという重要な間接事実と言えるでしょう」  とした上で、 「地検特捜部の現状の任意捜査では真実の交渉経過、鑑定のいきさつが明らかにならない。今こそ近畿財務局を強制捜索して、関係証拠を押収、差押すべきです」  と、言う。  一方の財務省は、30日開催された民進党のヒアリングで、民進党議員たちからこの音声データを聴かされた上で、理財局の富山一成次長が「録音データの内容と、佐川前理財局長の答弁との齟齬は、確認しないと、組織として決めた」と発言。民進党議員たちからの相次ぐ質問には、「仮定の話ですので、お答え控えたいと思います」、「財務省としてコメントは差し控えさせて頂きたい」と、またしても頑なにコメントを出すことを拒否している。  しかし如何に財務省がコメントを拒否しようと、この音声データにより、財務省側が森友学園に便宜をはかっていたことが明確になった事実は動かない。阪口弁護士の指摘どおり、ここは、地検特捜部による財務省の徹底的捜査に期待するしかないだろう。 <取材・文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie) 協力/赤澤竜也> ※菅野完氏の連載、「草の根保守の蠢動」が待望の書籍化。連載時原稿に加筆し、『日本会議の研究』として扶桑社新書より発売中。同作が第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれた。また、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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