企業の、ネットを通じた「顧客参加型販促」は、スマホの普及率に比例して隆盛の時期を迎えている。古くは応募券や応募シール等をハガキに貼って送るキャンペーンが、今やネットを通じリアルタイムで参加できるようになった。
ネットを通じた「顧客参加型販促」は、今回の森永製菓のキャンペーンでも分かるように、ネット上に悪意等が現れれば、瞬時にして主催者側が意図していたものとは全く違うものに変容する可能性もあるのだ。
今回の件でいえば、直接的には「1日1クリック」のシステムの脆弱性が、ネット上の悪ノリに突かれたウィークポイントではあったが、本質的にはそれを主催者側が想定できなかったことが最大の欠陥。
今回の一件の「首謀者たち」に、明確な「悪意」があったのかと問われれば、彼らは否定するだろう。「面白そう」、「戸惑う主催者や受賞者を遠目に見てニヤニヤしたい」。元を辿ればその程度のことである。しかし、ネット上の、ちょっとした出来心は、圧倒的な数を得ると大きな悪ノリに変わる。
今回のウイダーinゼリーの部活応援企画においては、どこにも「勝者」はいない。M高校も、東京朝鮮高校も、創価高校も、S高校も、森永製菓も、電通も、すべてが翻弄された側である。何に翻弄されたのか?ネット民にではなく、実態のない悪ノリにだ。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>