「総合スーパー」本格進出から僅か10年で「大型空き店舗の救世主」に
しかし、それだけの「出店に足る要素」があろうとも、渋谷・新宿界隈に都市型総合スーパーが誕生したのは史上初のことであり、高度成長期の総合スーパー全盛期であっても総合スーパーが成り立たなかった地域へのメガドンキ出店は業界をアッと驚かせるものとなったのは当然である。
もちろん、地域住民にとってみても「ディスカウントストア」のイメージが強いドン・キホーテが総合スーパーを開業させると聞いて驚いた人は多いのではないだろうか。
実は、総合スーパーが業態不振となる一方で、現在ドン・キホーテは全国各地で総合スーパー事業を拡大している。
もともと、ドン・キホーテが総合スーパー事業に乗り出す大きなきっかけとなったのは、2007年の総合スーパー「長崎屋」の買収であった。
「サンバード」のキャッチフレーズで知られた長崎屋は1948年に神奈川県平塚市で布団店として創業。高度成長期にスーパーマーケットとして成長し、一時は北海道から熊本県まで全国展開するようになったが2000年に経営破綻。紆余曲折を経て、2007年からはドン・キホーテグループとなった。
ドン・キホーテに転換した長崎屋の店舗(千葉県柏市)
その後、ドン・キホーテは長崎屋の多くの店舗を「ドン・キホーテ」「MEGAドン・キホーテ」に転換するとともに、自社店舗の食品売場を強化。生鮮食品を導入する店舗も増え、近年は閉店した総合スーパー跡地への出店も増えている。2016年6月には経営不振となっていた総合スーパー「ダイシン百貨店」(大田区)を買収し、MEGAドン・キホーテに転換させたことも話題となった。
立川駅近くの「MEGAドン・キホーテ立川店」。 閉店した「ダイエー立川店」の建物を2015年にリノベーションした総合スーパーだ
こうした動きは東京都心以外でも同様であり、今やドン・キホーテは「大型空き店舗の救世主」となっているのだ。