渋谷の真ん中に総合スーパー誕生! 仕掛け人は「ドン・キホーテ」

 そして、店内に入って最初に目に付くのは土産品売場。「渋谷」「東京」を冠したもののみならず、全国各地の銘菓が並ぶのは渋谷という立地ならではであろう。  店内を1階から順にエスカレータで上がっていくと化粧品、衣料品、生活雑貨などの売場となる。以前の渋谷店よりも広い通路に豊富な品揃えを実感することができ、まさに「総合スーパー」と呼ぶに相応しい内容だ。5階まで来ると、パーティーグッズ、コスプレ用品、アダルトグッズの売場が広がり、ようやくいつもの「ドンキ感」を味わうことになる。 しかし、何といってもこの店舗の一番の特徴は「食品売場」であろう。食品売場は3フロアに分かれており、2階は菓子、酒など、1階は銘菓(土産品)など、そして地階は生鮮食品、惣菜、冷凍食品などの売場となる。

1階には銘菓が並ぶ

 とくに地階の生鮮品は青果、精肉、鮮魚フルラインで販売されており、高級肉売場をはじめとして一部には対面販売が導入されるなど、大手スーパー顔負けの品揃え。また、惣菜は和洋中ばかりかタイ料理などもあり、多様なニーズに応える店舗となっている。  これだけの品揃えの大型店ながら、営業時間は全館24時間。まさに「新時代の都市型総合スーパー」と言うべき内容だ。

都心回帰の中、スーパー不足を埋める存在に

 筆者が店舗を訪れた時間帯は午後11時。遅い時間ながら、店内は外国人観光客で溢れ返っており、レジには長い行列が出来ていた。  近年、欧米からの観光客にとって東京は「深夜に出歩いても安全な街」としても人気を呼んでおり、渋谷の街では「夜間散策」を楽しむ外国人の姿が目立つようになっていた。メガドンキ渋谷店はそうした観光客にとって格好の「お買いものスポット」となっているようだ。  そして、地階には会社帰りのスーツ姿のサラリーマンの姿もあり、早速「地域の冷蔵庫」としての役割も果たしていることが見受けられた。

惣菜も幅広い品揃えであることがアピールされている

 実は、これまで渋谷駅周辺では「スーパーが少ない」ということが大きな問題となっていたのだ。  渋谷区では都心の地価高騰、住環境の悪化などにより1990年代後半までは人口が減少傾向にあったが、都心回帰が進む近年は増加傾向に転じ、2000年の国勢調査時に約19万6000人であった人口は、2017年現在23万人目前にまで増えている。その一方で、渋谷駅近くには成城石井などはあるものの一般的なスーパーマーケットが少なく、2017年4月に宮下公園そばに開業した食品スーパー「東急ストア渋谷キャスト店」、そして5月に開業した総合スーパー「メガドンキ渋谷店」の両店は、住民にとって待望のスーパーマーケットとなった。  このように、メガドンキ渋谷店は「24時間旺盛な観光客需要」と「住民の都心回帰」という2つの要素があったからこそ「都市型総合スーパー」としての出店が可能になったと言えよう。
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大型空き店舗の救世主!?
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