参加者をうんざりさせない「研修」運営のポイント

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ストレートに本題に入れば良いというものではない

 1対1であらたまって話す時にも、電話で相手に話しかける場合でも、コミュニケーションの序盤で、BIGPRという分解スキル(参照:『会って20秒で相手を引き付けるために重要なこと』)を発揮すると、相手を引き付けることが格段にできるようになる。BIGPRとは、B(Background 背景)、I(Introduction 紹介)、G(Goal 目的)、P(Period 時間)、R(Role 役割)を、コミュニケーションの冒頭で聞き手に伝達する方法だ。  BIGPRは1対多数の会議や研修で実施する場合にも、多数の聞き手を引き付けるために効果を発する。例えば、会議の冒頭で、BIGPRを行わないで、「それでは、資料の1頁を開いてください」……と、いきなり本題から入ってしまうケースが、実は多い。  いきなり本題に入ってしまっては、会議参加者は、いったいこの会議は何の前提で行うのか、話し手や進行役はどういう人なのか、会議の目的は何なのか、いったどのくらいの時間実施されるのか、参加者はどういう心持ちで参加すればよいのか……ということがわからないままスタートするので、会議の参画度合が低下する。低い参加度合のまま会議はスタートするので、会議の目的が果たされる確度が下がる。 「全社的な中期経営計画の実行計画のプラニングの一環で行います(B Background 背景)。進行を務める企画担当の山田です(I Introduction 紹介)。本日は当部の実行計画を確定させたいと思います(G Goal 目的)。15時までの1時間で実施します(P Period 時間)。本日は実行計画を確定させますので、存分に意見を言っていただきたいと思います(R Role 役割」というBIGPRを行えば、参画度合を高めて会議をスタートさせることができるのだ。

研修冒頭の「べからず集」はもうたくさん!

 このBIGPRは、参加者自身の自発的な参画意欲を高める効果もある。背景や目的や時間配分を明示して、参加者に安心していただき、心地良く、主体的参加する雰囲気を作り上げる効果があるのだ。  一方で、現実に行われている研修は、参加者を不安にさせ、居心地悪く、主体的な気持ちを損なうことが、多く行われていることが実情だ。研修会場に到着すると、受付で名簿にチェックをされる、指定席へ案内される、発言は指名される……受付から研修会場に入るまでの間に、主体的な気持ちが、次次と低下するのだ(参照:『「準備万端」な研修ほど能力開発には役立たないこれだけの理由』)  極め付けは、研修の冒頭だ。「それでは、ただいまからXX研修を始めます。まず、資料の確認です」と、資料の確認をさせられる。そして、第一声が、「注意事項を連絡します。携帯はオフ。PCはシャットダウン。私語厳禁。質問は最後にまとめて取ります。最後に再び出欠を取ります。この研修は、昇格のために必要な研修ですので最後まで必ず受講してください」という「べからず集」だ。  そして、おもむろに、「それでは講師の先生を紹介します。XX先生の経歴は……」という具合だ。これを茶番だと思っている参加者は少なくない。しかし、いちいち口に出すほどのことはなく、ひたすら研修時間が過ぎるのを待てばよいと懸念を表明していないのではないか。こうした日本のビジネスパーソンの耐性が、押し付け研修を長年放置してきたと思うのは、私だけだろうか。
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携帯オフもPCシャットダウンも不要
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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