北朝鮮、新型弾道ミサイル「北極星2」型を実戦配備へ――日本への影響は?

宇宙から青く丸い地球を撮影した意図

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北極星2型から撮影したとされる地球の映像 Image Credit: KCTV

 さらに今回北朝鮮は、北極星2型の発射から、機体の分離、そして弾頭分離までの一部始終を撮影した映像を、初めて公開した。  この映像から、ミサイルが2段式だったことがはっきりした。今年2月の発射や、4月の軍事パレードの際にも、機体の形状や表面の凹凸などから2段式のミサイルではないかと指摘されていたが、それが裏づけられた。  また、第2段から分離された弾頭部分にはカメラが搭載され、青く丸い地球の映像が撮影された。こうした映像は、ミサイルの開発や試験にとってはあまり重要ではないため、どちらかというと国内外にアピールするために撮影されたものだろう。  それよりも重要なのは、宇宙空間から映像の送信が可能だということは、ミサイルの飛翔中から、加速度や温度といったデータが送られていたであろうということである。つまり北朝鮮はこれまでも、ただ当てずっぽうにミサイルを飛ばしていたのではなく、毎回きちんとデータを取って開発に活かしていたのだろう。また、それは北極星に限らず、ムスダンや先日の火星12といった、他のミサイルでも同様だと考えるべきである。  さらにカメラの動きから、弾頭の姿勢制御がおこなわれていることがわかる。つまり大気圏の再突入に向けて、弾頭の姿勢を最適な状態に制御することが可能だということで、ミサイルだけでなく、弾頭の開発にも進展がみられる。  もっとも、肝心の大気圏への再突入に成功し、なおかつ実戦で使える程度に実用化できているかどうかはわからない。ミサイルが海に着水することが確認されているということは、少なくとも燃え尽きてはいないということを意味するが、それだけでは弾頭として使い物になるかどうかはわからない。ミサイルや弾頭にデータの送信装置がついている以上、再突入後も信号を送信できるように造られてはいるだろうが、実際に送信でき、北朝鮮がデータを取得できているのかもわからない。  仮に電波が出ているとすれば、日本海に展開している米国や日本の艦艇で捉えることができるため、軍や政府関係者は電波発信の有無、場合よってはそのデータも捉えているはずである。先日の「火星12」型の発射後、米国の高官などから「再突入に成功したとみられる」という見方が出てきたことが報じられているが、もしかすると再突入後の弾頭から出る信号を受信、あるいは分析した上での発言なのかもしれない。
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何が脅威なのか?
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