ハリボテか? それとも脅威か? 北朝鮮が披露した新型「大陸間弾道ミサイル」の正体

発射試験も燃焼試験も行われていない“こけおどし”か

 もっとも、このトーポリや東風21のようなミサイルは、まだ完成していないか、場合によっては影も形もない可能性がある。  トーポリは固体ミサイルとして大型である上に、機体にカーボンを使うなど、1980年代のソ連の技術が結集されている。一方北朝鮮は、北極星の開発によって固体ミサイルの技術があるにはあるものの、今回披露されたミサイルは北極星よりもはるかに大きい。ミサイルとして使うための安定した品質での量産と併せて、大型化も達成するには、まだ時間を要するだろう。またカーボンを使った機体の製造をはじめ、いくつかの技術水準では80年代のソ連にすら及んでいないと考えられる。  つまり現在の北朝鮮には、トーポリ級の規模と性能でミサイルを製造するのは難しく、それを実際に量産、運用するまでにはさらに時間がかかるだろう。  実際に、これまでにこの大型ミサイルの発射試験が行われたことは確認されていないばかりか、地上でのミサイルの燃焼試験も確認されていない。  発射試験が行われた場合はいうまでもなく、燃焼試験が行われた場合でも、ちょっとした火山の噴火か、あるいは山火事に近い出来事になるため、ミサイル発射時の熱を常に監視している早期警戒衛星によって、その様子が捉えられているはずである。しかし今のところ、米国などからそのような発表がないということは、まだ燃焼試験すらしていない、つまりパレードに出てきたTELの中には何も入っていないばかりか、北朝鮮のどこを探しても中身のない、本当にハリボテだったということになる。  無論、すでに燃焼試験は行われており、米国もそれを探知しているものの、単に明らかにしていないだけという可能性もないわけではない。  ただ、仮にすでに燃焼試験が行われていたとしても、発射試験が行われ、成功しない限りは兵器としての意味をなさない。いずれにしても完成までにはまだ時間を要するはずであり、彼らの引き金をもつ手を止めることは、まだ可能だろう。
次のページ 
「脅威」になるのは間近
1
2
3
4