では、肝心の、モチベーションファクターを変える方法は何か。経験的に最も確度が高かった方法は、変えたいモチベーションファクターの人と共同で仕事をすることだ。自チームの人でも他チームの人でもよい。チームを横断するプロジェクトでもよいし、小規模な作業チームでもよい。私はモチベーションファクターを判定するカード演習を開発し、必要に応じて実施しているが、早ければ1週間、時間を要する場合でも1か月で変わる。
次に確度が高い方法は、変えたいモチベーションファクターの人をメンターにアサインすることだ。メンターとは、直属の上司とは別に、上下関係ではなくて、取り組みの状況を共有したりしながら、示唆や助言をする役割を担う。メンターとしての役割を発揮する中で、お互いに感化し合い、モチベーションファクターの移植が行われるケースが多い。
もし、その人のモチベーションファクターを変えることに、少し時間をかけてもよい状況であれば、変えたいモチベーションファクターの人々ばかりのチームに、放り込むことだ。モチベーションファクターは、職位の差よりも、業種毎、企業毎の差が大きく、業種毎、企業毎に大きな特徴を持っていることが、その方法が効果を出すことの証左である。
※「モチベーションファクターを見極めるスキル」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第32回】
<文/山口博 photo by
AlexanderStein via pixabay(CC0 PublicDomain)>
【山口 博(やまぐち・ひろし)】株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある
※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。