日本の最先端技術は財政問題を抱えるサウジを救えるか?「日・サウジ・ビジョン2030」が合意

特殊フィルム利用の野菜栽培

 もう一つの興味深い覚書は、日本側メビオール、サウジ側Al-Afandi Establish社による「アイメック(持続的農業技術)に係る協力」だろう。  これは、メビオールが開発した「アイメックフィルム」という特殊フィルムを用いて砂漠地帯での持続的農業技術に転用するというものだ。もともとアイメックスは、人工透析や人工血管、カテーテルなどの医療用製品に用いられる膜およびハイドロゲル技術に由来するもので、メビオールは医療分野で培ってきた先端高分子技術を農業分野に展開し、2009年にはトマト生産に導入され、その後もUAE(アラブ首長国連邦)の砂漠地帯、東北地方の津波の被害にあった地域で、アイメックフィルムを使った農場の建設が進んでいる。  財政不安を抱えているとも言われるサウジアラビアだが、日本の先端技術が、「起死回生の策」とも言われる「サウジ・ビジョン2030」を後押しすることができるか、注目していきたい。 <文/丹羽唯一朗>
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