日本の最先端技術は財政問題を抱えるサウジを救えるか?「日・サウジ・ビジョン2030」が合意

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photo by Pexels via pixabay (CC0 Public Domain)

 3月13日、安倍晋三総理とサルマン・サウジアラビア国王との首脳会談において、「日・サウジ・ビジョン2030」が合意された。同ビジョンは、昨年9月、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子殿下と安倍総理との間で策定に合意され、政府間対話枠組みである「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」での議論を経て、二国間協力の基本的な方向性と具体的なプロジェクトをまとめたもの。首脳会談後には、両首脳立ち会いの下、世耕経済産業大臣及びファキーフ経済企画大臣他による本ビジョンの実行に係る協力覚書への署名が行われた。(参照:経済産業省)  もともと、サウジアラビアの成長戦略「サウジ・ビジョン2030」は石油依存体質からの脱却や雇用拡大を目指すものだった。しかし、本サイトの既報(「時価総額はアップル以上!サウジの国営石油企業サウジアラムコ上場へ」)で記したように、現時点、サウジアラビアでは、石油関連以外の業種は育っていない。製造業は小規模なものに留まり、巡礼者や業務渡航以外の一般観光客を受け入れていないことから、観光業も育っていないのが現状だ。  このため、今回の協力によって、日本のサポートを得ながら、サウジアラビアは石油依存経済脱却を図っていくことが意図されていると考えられる。 「日・サウジ・ビジョン2030」具体的な内容については「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム”ビジョン2030セッション”において交換された覚書一覧」にまとめられている。  経済産業省・東京証券取引所とサウジアラムコの間で、同社の東証での上場に向けた共同研究会の設置を検討することも盛り込まれているが、本件は本誌でも別途記事として取り上げられるので、筆者は別のテーマで、面白そうなものをピックアップしてみたい。
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海水淡水化の新技術に注目
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