霧ヶ峰から湧水する大清水の前には「絶対反対」の看板が
気候変動時代を迎え、太陽光発電は「再生可能エネルギー」の主流となった。しかし、全国各地で導入の進むメガソーラーは「地域破壊ではないか」との異論が上がっている。自宅の屋根に載せて省エネと売電を楽しむ「分散型」の太陽光発電とはまったく性質が異なるというのだ。
例えば、長野県の観光スポット「霧ヶ峰」下流で進められている「諏訪市四賀ソーラー事業」がそれだ。株式会社Looop(本社、東京都文京区)が東京ドーム40個分(188ヘクタール)の山林を開発し、ソーラーパネル31万枚(8万9000キロワット)を設置するというもので、下流域の茅野市米沢地区から「即時中止」を求める声が上がっている。
こうした声が日本各地から上がるようになったのは、国が再生可能エネルギーによる電力を20年間の固定価格で支援するという制度を2012年7月に始めてからだ。長野県では、再生可能エネ発電の設備容量は2014年度末までに約541%増(2010年度比)で67.9万キロワットとなった。その98.7%を太陽光発電が占める。
「当初は、自然環境と温暖化対策が対立する案件はありませんでした。ところがだんだん貴重な森林を伐採する大規模な案件が増え、地域の皆さんから環境・景観・災害防止の観点で心配の声が上がるようになりました」
そう語るのは、長野県で対策に乗り出した中島恵理副知事。