上野千鶴子氏の言う「平等に貧しくなろう」はそんなにマズかったのか?

何が本当の問題なのか?

 ただし今、本当に生活が苦しい人がたくさん増えている。「収入が低くていいじゃないか」とは簡単に言えることではない。貧困化が進んでいるのは、経済成長モデルを諦められない、政官財の愚策からだ。 「経済成長の上昇分を社会保障に回そう」などと言っていたら、経済成長がずっと来ないままでは、貧しい人はますます貧しくなってしまう。経済成長を前提としない成熟社会(定常型社会)を見越した制度設計に変えていくしかない。  企業や国民の負担率を増やし、再分配機能を強化する。困っていない人から困っている人への配分強化である。税金や保険料でお金を移転して、誰もがそれなりの生活ができるようにすることだ。

経済成長モデルのおかしさに気づいた人たちが増えている

 上野さんは以下のように締めている。 「NPOはさまざまな分野で問題解決の事業モデルをつくってきました。私は“制度を動かすのは人”が持論ですが、人材が育ってきています」  その通り。経済成長モデルのおかしさに気づいた人たちが、各地各分野で実績と成果を積み上げて政治や社会を動かす時代に、やっとたどり着きつつある。  GDP600兆円という妄想を目指して必死に頑張りますか? 収入はほどほどでも、自由に暮らし、分かち支え合うシステムを創る側にシフトしますか? どちらが豊かで楽しいですか? あなたはどう考え、どう行動しますか? <文/髙坂 勝> 1970年生まれ。30歳で大手企業を退社、1人で営む小さなオーガニックバーを12年前に開店。『次の時代を、先に生きる~まだ成長しなければ、ダメだと思っている君へ』(ワニブックス)を10月26日に上梓。
1
2
3
4
5
【講演会情報】
3/4(土)14時~15時30分「次の時代に先駆けて、減速して自由に生きる」埼玉県男女共同参画推進センター(With You さいたま)セミナー室
http://www.pref.saitama.lg.jp/withyou/event/list/0304.html
【 地球のしごと大學教養学部・募集スタート(筆者も講師陣の一人)】
http://chikyunoshigoto.com/archives/category/kyouyou/