ギャンブル依存症回復へのコストはホールに重くのしかかる?
従って多くのギャンブル依存に苦しむ人たちは、保険が適用されない民間機関へ足を向けざるを得なくなる。身近な対策として、カウンセリングや心理セラピーを受けることが考えられるが相場観としては1時間に1万円ほどがかかる。この費用は全額ギャンブル依存症者に負担させるのかという問題がある。
公営ギャンブルであれば自治体による公的助成等は名目が立つ可能性はある。
しかし民間のパチンコには、公的な助成は行われない可能性が高い。だからといってパチンコが生んだ依存症者の回復に助成がなされないとなると、「依存症対策法」の枠が揺らいでしまう。
個人の問題だから100%個人負担を強いるのか。世論はその理屈を許容するのか。「パチンコ屋がギャンブル依存症者を作り出したんだから、その治療に掛かる費用は、パチンコホールも負担すべし」と言い出されるのではないか?
設備投資費、委託費・人件費これに加え、まさかの「治療」費。これらの新たな負担をパチンコ業界がすべて担うことが可能なのか。
昨年は遊技機のいわゆる「くぎ問題」で、多くのパチンコ店の体力が奪われた。今年は、「カジノ法案」とセットになった「依存症対策」によって、より経営体力が損なわれていく。ギャンブル依存症対策におけるプリベンション、インターベンション、ポストベンションの問題。ここに対し、パチンコ業界がどのようなアプローチを見せていくのか注目である。
<文・安達 夕>